2010年11月6日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 中国・漢の将軍が、反乱軍と戦をするときです。皇帝が将軍に、「どうやって敵を平らげるのだ」と尋ねました▼将軍が答えます。「百聞は一見にしかず、です。急いで現地へ行って事情を調べ、作戦をたてます」。格言「百聞は一見にしかず」の出どころとされる逸話です。将軍は首尾よく反乱軍に勝った、といいます▼巡視船の船体をこするようにぶつかってくる青い船。海上保安庁が尖閣諸島の辺りで撮ったとみられる映像が、インターネット上に流出しました。保安庁は、中国漁船が衝突した事件の捜査資料と認めます。みた人の多くが、「百聞は一見にしかず」と思いました▼「百聞は一見に…」とはいえ、現場ではなく映像です。しかし、叫び声も交じり、生々しい。インターネット上に映像を投稿した人は、「sengoku38」と名乗ります。誰もが、仙谷官房長官を思い浮かべます。限られた人しかみられなかった非公開の映像を、いったい誰が、どんな考えで流出させたのでしょう▼さっそくインターネット上で、流出してよかったかどうか議論がおこっています。目立つのは、中国への憎しみと日本の軍事行動をあおるような意見の投稿です。いよいよ戦争だ。日本も空母を持とう。核武装も必要だ…▼きなくさい風潮が強まると、反発が反発をよぶ悪循環に陥りかねず、中国に堂々と「尖閣は日本領」と主張するうえで、百害あって一利なしです。いくら、領土をめぐる政府のにえきらない態度に不満が募っているとはいえ。





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