2010年11月5日(金)「しんぶん赤旗」
「こども園」保育料 事実上の自由価格に
検討会がたたき台
幼稚園と保育所を廃止して「こども園」に一本化する制度設計を検討している政府の「こども・子育て新システム」基本制度ワーキングチームは4日の第3回会合で、創設するこども園の保育料について、事実上の自由価格とするなどのたたき台を示しました。
現在、保育所の保育料は利用時間に関係なく保護者の所得に応じて市町村が決めていますが、これを利用時間に応じた料金にします。
料金は、一定の公定価格の上に、付加的な幼児教育・保育の料金として自由価格を上乗せします。現在、保育所では徴収されていない入学金や、体操や音楽などの課外活動にかかる実費徴収も上乗せを認めます。上乗せ部分は、公的給付(利用者補助)の対象外で、全額自己負担となります。
現在、幼稚園は自由価格で、最高で保育料・入園料・教材費などで年180万円に上るものもあります。
自由価格部分に上限をつけることも考えられるとしていますが、保護者の経済力によって、ゼロ歳児からの保育に格差を持ち込むことになります。
こども園への入園は、保護者の選択による自由契約で事業者との直接契約になり、保育料も事業者に直接払います。低所得者や手のかかる子どもが排除される懸念があるため、「正当な理由」がない限り入園を拒否できない「応諾義務」を設けるとしています。
ただし、現在、幼稚園で行われているような入園選抜は、選考基準の公開などを条件に「正当な理由」と認めるとしています。応諾義務は形骸(けいがい)化する恐れが強いといえます。国立大学の付属幼稚園は新制度の対象外としています。
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