2010年10月31日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 お墓や仏壇に供えるシキミ。モクレン科の常緑樹です。仲間の木に、ダイウイキョウがあります▼ダイウイキョウの原産地は、中国の南部とインドシナです。果実の粉は「八角」とよばれ、中華料理の香料や胃を丈夫にする漢方薬に用いられます。八角はまた、インフルエンザ用の薬タミフルの原料です▼八角から採れるシキミ酸を合成してつくるタミフル。スイスの製薬会社が製造・販売しています。しかし、八角のほぼ8割が中国産です。同じように、発展途上国の生物を利用して先進国の企業が薬品や食品をつくる例は、数多い▼そんな場合、企業と途上国の間で利益をどう分け合うか。名古屋で開かれた、生物多様性条約を結ぶ国々の会議は、利害対立を解こうと交渉を重ねました。そして、ようやくまとまった「名古屋議定書」。あいまいさや途上国の不満を残しながら、公正なルールづくりへの第一歩です▼人間は、自然を利用しないでは生きられません。しかし、生物を次々と滅ぼしてしまっては、自然のゆたかさを掘り崩し、元も子もありません。いま、地球上の生物が1日100種以上の割合で消えています。せきつい動物の2割に、絶滅のおそれがあります。名古屋の会議は、生物多様性の損失を止めるための「愛知目標」も決めました▼それにしても、偶然でしょうか。地球温暖化を防ぐための京都議定書に次いで、今度も日本の都市・名古屋が発信地です。わが国が、地球環境をまもる行動を、率先して起こす国でありたい。





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