2010年10月31日(日)「しんぶん赤旗」
各国の発展の道 探求する時代
日本AALA55周年
不破社研所長が記念講演
日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(日本AALA)は30日、創立55周年とバンドン会議55周年を記念する講演会を東京都内で開きました。日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長が「世界史の中で21世紀を考える」と題して講演。植民地体制の崩壊で生まれた世界の構造変化とそのもとでの諸課題を壮大に描き出した話に、台風が近づく悪天候の中、全国から集まった1000人の聴衆が熱心に聞き入りました。外国からもゲストとして非同盟国の22カ国・24人の駐日大使・外交官が出席するなど内外の注目を集めました。
|
発達した資本主義を社会発展のモデルとする見方が打ち破られた
不破氏の日本AALAでの講演は、2005年4月の創立50周年記念講演に続くものです。不破氏は、植民地体制の崩壊によって、「発達した資本主義」諸国の特権的支配に終止符が打たれたことを世界史的にあらためて跡付けました。そのうえで「発達した資本主義」を社会発展のモデル扱いする見方が、現実世界の動きのなかで打ち破られ、それぞれの国、社会で今日の条件を生かした発展進路を大胆に探求する時代に入りつつあることを詳述しました。
このなかで、「社会主義を目指す国ぐに」はマルクスの理論でいえば過渡期にあると指摘、当然その前途には模索と探求を必要とする多くの諸課題があるだろうが、それらの課題に社会主義の精神で取り組み、旧ソ連で犯された致命的な誤りは絶対に再現させないことを願っていると表明しました。
さらに過渡期であっても、世界での政治的・経済的比重が大きくなるもと、これらの国ぐにの行動によって、社会主義社会が資本主義にとってかわる資格と能力をもつかが試される時代が到来していることを強調しました。
不破氏はさらに、社会体制や文明的歴史の異なる国ぐにが同じ地球上で一つの世界を構成する現代では、「異なる社会体制の間の共存」「異なる価値観をもった文明間の共存」という二つのルールの確立が大切だと強調。最後に、世界が直面する緊急問題として核兵器廃絶と地球温暖化対策をとりあげ、AALA諸国が果たしている役割を詳述しました。
講演終了後、ゲスト参加した外交団と懇談しました。
埼玉・草加市から参加した女性(30)は「異なる社会体制や文明間の共存という提起は新鮮でした。こうした見方でこそ躍動する世界をとらえることができるのだと思う」。アジア情勢に関心があって参加したという横浜・戸塚区の男子学生(19)は「社会主義を目指す国ぐにの見方など新たな発見がたくさんあった。もっと学んでいきたい」と抱負を語っていました。
日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(日本AALA) 「日本国民とアジア・アフリカ・ラテンアメリカ地域の諸国民相互の理解と親善」「公正、民主の新国際経済秩序をめざして活動し、世界平和に寄与する」ことなどを掲げる全国組織。約4千人の個人会員と団体(19団体、約280万人)で構成。1955年設立。