2010年10月29日(金)「しんぶん赤旗」
「税金は保険金で」と自殺した業者
こんな徴税あるか
大門議員が告発 参院財金委
国税庁「現場を指導する」
「税の対応を苦にして自殺するようなことはあってはならない」―。日本共産党の大門実紀史議員は28日の参院財政金融委員会で、各地の税務署が不況にあえぐ中小企業に対して無法な“滞納整理”を行い、自殺者まで出している実態を示し、是正を要求しました。
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大門氏は、経営難に陥っている中小企業・零細業者に対し、税務署が取引先の売掛金を差し押さえるなど国税徴収法や国税庁通達にも反する例が後を絶たないと指摘しました。
千葉県松戸市では、廃業した零細業者が預金を差し押さえられ、相談に行くと一括か2、3回の分割での年内納付を迫られ、自殺したケースに言及。「身も心も限界にいたった」「税金は共済の死亡保険金で支払うことができる」と苦しさを訴えた遺書の一節を読み上げ、「税の対応を苦にして自殺するようなことはあってはならない。調査し、遺族に報告すべきだ」と迫りました。
国税庁の田中一穂次長は、「十分調査、確認し、納税者の遺族から要望があれば、誠実に対応する」と約束。野田佳彦財務相も、「納税者の個々の事情に即して判断する必要がある」と答弁しました。
大門氏は、札幌国税局管内では、納税できない場合は相談するよう促すなど納税者への配慮を盛り込んだ「差押予告書」があるのに、相談を促す部分にわざと線を引いて抹消し、すぐに財産を差し押さえると警告しているケースを告発。人権を無視した勝手な運用を行わないよう指導せよと求めました。
田中局長は、「指摘の点も含めて再度現場に指導していきたい」と答えました。
中小守ってこそ経済も成長
埼玉県商工団体連合会婦人部協議会会長の奥田歌子さん(飲食店経営)の話 自公政権の悪政や「小泉構造改革」などの影響で、中小・零細業者は不況のドン底に追い込まれています。そこから救い出すどころか、逆に税金の滞納を理由に自殺や廃業に追い込むようなことは、到底国がやるべきことではありません。
日本経済の7割から8割を支える中小企業を守らなければ、経済成長どころか、日本の経済そのものが回っていきません。民主党政権には、消費税増税論議や公共事業受注企業からの政治献金受け入れ再開など、国民・中小業者いじめや政治的逆行が目立っており、失望しています。