2010年10月29日(金)「しんぶん赤旗」

スーパー堤防事業計画廃止

住民と共産党一貫して要求


 28日の行政刷新会議の「特別会計事業仕分け」でスーパー堤防事業の進ちょく率や費用対効果の問題点が指摘され、結果として「廃止」するとされました。これを受けて国交省は全面的な見直しをせまられることになります。

 このスーパー堤防事業は、江戸川、淀川など大河川の堤防から周辺市街地に向かって、250〜300メートルにわたり盛土をして、緩やかに傾斜した堤防を築くというものです。計画では全国5水系6河川で総延長872キロメートル。しかし1987年から現在まで完成したのはわずか47・65キロメートル。進ちょく率は5・5%、かかった費用は約7000億円、完成まで400年かかり、総事業費は12兆円になるとされています。

 この事業によって、たとえば東京・江戸川区では堤防建設と一体的に行われる土地区画整理事業によって、3174世帯(約7300人)が一時移転を強要され、完成したときに再移転する計画になっています。

 工事期間は10年以上ともいわれ、対象地域は5人に1人が高齢者であることから、「生きているうちに戻れないのではないか」「地域のコミュニティーが破壊される」との声が上がっていました。

 日本共産党は一貫して住民のこうした声を国会で取り上げ、計画の問題点を指摘してきました。

 ことし3月の参院予算委員会で、小池晃参院議員(当時)は、建設予定地の住民アンケートで92%が「白紙に戻すべきだ」と答えたことを紹介し、「住民の声に耳を貸さず、事業を進めることはあってはならない」と主張、前原誠司国交相(当時)も「今後十分な合意形成をはかっていく必要がある」と答弁していました。

 民主政権は「ダムに頼らない治水を」を言っています。スーパー堤防計画を白紙に戻し、現堤防の補強、土砂がたまった川底の掘り下げ、上流部での遊水地の設置など多様な選択肢を視野に置くべきです。その上で、専門家や住民、地方自治体などの関係者の意見を聞き、住民の命と暮らし、資産を守る治水対策に抜本的に切り替えるべきです。 (国民運動委員会・高瀬康正)


早く中止を

 中野守氏(「北小岩18班スーパー堤防・まちづくりを考える会」事務局長、中央大学教員)の話 「廃止」の方向が出たことはうれしいが、この結果をこれから国交省が検討するのだから、まだ「半製品」だ。また「ここまでムダを指摘した」として消費税増税の口実になるのではないか。私も対象地域に住んでいるが、すでに「2度の引っ越しは無理だ」「このままいれば病気が悪化する」と泣く泣く出て行った人もいる。ムダな事業の典型であるスーパー堤防事業は一刻も早く中止すべきだ。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp