2010年10月29日(金)「しんぶん赤旗」
主張
鳩山氏偽装献金
国会と国民欺いた責任は重い
自らの資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金問題で去る6月辞任した鳩山由紀夫前首相(前民主党代表)の無責任な言動がまた批判をあびています。ほとんどが母親などからの資金だったのに政治資金収支報告書で「個人献金」と偽装し、秘書の裁判中は資料がなく詳しい説明はできないといっていたのに、実際には資料のコピーが存在していたことが明らかになったのです。鳩山氏は秘書の裁判が終われば国会で説明するといっていたのに、それさえ実行していません。国会と国民を欺いた責任は重大であり、鳩山氏が説明を求められるのは当然です。
すでに有罪も確定
鳩山氏は自らの進退についても、首相などを辞任したさいには次の総選挙には出馬しないと発言していたのに、事実上撤回してしまいました。国会と国民を欺いたまま国会議員としてとどまろうとすることが許されないのは明らかであり、鳩山氏の説明責任は、いよいよ重大なものがあります。
鳩山氏の偽装献金事件は、2008年までの5年間だけでも約4億円が「偽装」だったと判決で認定され、政治資金収支報告書を作成した秘書の有罪が確定している明白な犯罪です。偽装献金のほとんどは母親などからの資金でした。鳩山氏自身も起訴されなかっただけで、深く関与していたことはだれが見ても明らかです。
しかも、母親などからの資金は12億円以上にのぼっていたことを鳩山氏も認めており、巨額の資金はいったい何に使われたのかと疑問の声が上がっていました。国民に選ばれた政治家がすすんで自らの疑惑にこたえるのは当然であり、政治資金の流れを明らかにし国民の監視を受けるという政治資金規正法の趣旨からも、鳩山氏の説明が求められます。
鳩山氏は、秘書が逮捕され裁判中は資料が押収されているからと、詳しい説明を拒んできました。そのうえ、裁判が終われば資料を返してもらい国会で説明するという約束に反して、秘書の有罪確定後も「プライバシー」などを理由に説明を逃れています。実際には押収されていたという資料のコピーが存在していたのですから、国会での説明を拒んできた鳩山氏のいいのがれはまったく通用しません。鳩山氏は直ちに自らの約束を果たすべきです。
この問題では一貫して鳩山氏の辞任で「けじめ」がついたと、真相の解明を求めようとしていない菅直人首相の責任が重大です。首相や民主党代表を辞任する問題と、国会での約束を守り、疑惑を自ら説明するのとは別の問題です。辞めればすむ問題ではありません。菅氏は代表として、鳩山氏に説明責任を果たさせるべきです。
小沢氏にも証人喚問を
鳩山氏に説明責任を果たすよう求めない菅氏や民主党の態度は、政治資金規正法違反事件で強制起訴が決まった小沢一郎元代表に対しても疑惑の解明を求めていないのとまったく同質・同根です。政治資金をめぐる疑惑に対して、まったく自浄能力がないと批判されるのは当然です。
国民は鳩山氏の事件でも小沢氏の事件でも、徹底的な真相究明と責任の追及を求めています。その声にこたえないなら、参院選や衆院補選と同じように民主党への国民のきびしい審判は免れません。