2010年10月28日(木)「しんぶん赤旗」

主張

民主党企業献金再開

どこまで世論に逆行するのか


 民主党が、昨年9月の政権交代のあと“自粛”していた一部の企業献金を再開すると発表しました。企業・団体献金を全面禁止するという自らの公約を踏みにじる暴挙です。民主党は、公共事業を受注したゼネコン・建設会社からの闇献金も指摘される小沢一郎元代表の政治資金規正法違反事件や、鳩山由紀夫前首相の偽装献金問題で、国民の批判の渦中にあります。一連の「政治とカネ」の問題での真相解明や政治的道義的責任を明らかにする努力もつくさず、企業・団体献金を再開するとは、国民世論への背信です。

禁止公約から方向転換

 民主党は企業献金を再開する理由として、自ら公約した企業・団体献金禁止についての各党協議がすすんでいないことなどをあげています。まったくとんでもない話で、禁止の公約が実現しないから解禁するなどというのは、本末転倒そのものです。

 企業・団体献金を禁止するというのが本心なら、政治資金規正法の改正を待たなくても、自らやめるのはすぐできることです。実際、日本共産党は企業・団体献金の全面禁止を主張するだけでなく、一円の企業・団体献金も受け取っていません。その気になりさえすればすぐできるのに、いったん受け取りを“自粛”した献金さえ再開するというのは、もともと禁止は本心でなかったといわれても仕方がないものです。

 民主党が昨年の総選挙を前にそれまでの方針を転換して企業・団体献金の禁止をいいだしたのは、小沢氏の政治資金規正法違反事件で、国民の批判に追い詰められたからです。総選挙の「マニフェスト(政権公約)」で禁止を公約し、政権交代後、国や自治体の公共事業を受注している企業からの献金は受け取らないと決めました。公共事業受注企業の献金は、選挙期間中はいまでも、公職選挙法で禁止されています。

 今回の一部解禁はそのうち受注額1億円未満の企業からは受け取るというものですが、岡田克也幹事長はかねがね、「一定の範囲」なら企業献金も認めると公言しており、一部とはいえその解禁が企業・団体献金禁止から容認への重大な転換なのは明らかです。

 献金の出し手である日本経団連の米倉弘昌会長は「献金は社会的責任の一つ」と、民主党の方針転換を大歓迎しています。政治献金は主権者である国民の参政権のひとつであり、どんなに大きな社会的存在であっても選挙権を持たない企業に献金の自由はありません。営利が目的の企業が献金するのは利益を増やすためで、それ自体、政治をゆがめる元凶です。だいたい雇用や地域経済を守る責任を果たしていない財界・大企業に、「社会的責任」などといわれたくありません。

腐敗政治の温床一掃を

 企業・団体献金が腐敗政治の温床になることは、小沢氏の政治資金規正法違反事件や、違法な団体献金で辞職に追い込まれた小林千代美前衆院議員など、「政治とカネ」の問題が後を絶たない民主党の姿を見れば一目瞭然(りょうぜん)です。

 ほんとうに「クリーン」な政治を目標にするなら、これらの問題を徹底糾明するとともに企業・団体献金の禁止を目指し、直ちに実行すべきです。民主党の企業献金再開は国民の失望を深めるだけです。





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