2010年10月28日(木)「しんぶん赤旗」
国産米わずか1割に
農水省が試算 TPP参加、日本の農業壊滅
政府は27日、原則として例外品目を認めず関税を撤廃する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に日本が参加した場合の影響について、農水省試算を発表しました。同試算では、TPP参加により農産物の生産額が4・1兆円減少し、食料自給率が14%に低下、雇用が340万人減少するとしています。
試算はコメ、小麦など主要農産品19品目について、全世界を対象に直ちに関税撤廃を行い、何らの対策も講じない場合の農業への影響を想定。コメなど主要19品目の自由化は、日本の実質GDP(国内総生産)を1・6%(7・9兆円減)押し下げるとしています。
また、同省試算の補足資料からは、国内の農産物のほとんどが壊滅的打撃を受ける「シナリオ」が具体的に示されました。
同省のTPP影響「シナリオ」によると、コメは、国産米のほとんどが外国産米に置き換わり、新潟コシヒカリ・有機米といった有名ブランドなどのコメ(生産量の約10%)のみが残る状態にまで壊滅。生産減少額は1兆9700億円にのぼるとしています。
小麦も国産100%小麦粉(生産量の約1%)をのぞいて外国産小麦粉に置き換わると予想されています。
また、砂糖は、国産糖のすべてが外国産精製糖に置き換わり、「国産甘味資源作物は引き取られなくなる」としています。
畜産・酪農も壊滅的打撃を受けます。バター、脱脂粉乳、チーズなどの牛乳乳製品は、「国産のほぼ全量が外国産に置き換わる」ことが予想され、牛肉は、肉質3等級以下の国産牛肉(生産量の約75%)が外国産牛肉に置き換わるとしています。
TPPへの「参加検討」を表明している菅直人首相は、11月に横浜市で開くAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議での態度表明に向けて調整を進めています。
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