2010年10月27日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「2010年10月、日本の空に革命が起こる」。羽田空港の情報誌が、新しい国際線ターミナルの完成を興奮気味に報じます▼きらびやかな国際線ビルから、モノレールで2駅目。人通りまばらな整備場に建つビルの一室に、日本航空の安全啓発センターがあります。520人の命を奪った、1985年の123便墜落事故の記録や遺品を展示しています▼壊れた尾翼。乗客が落ちてゆく最中(さなか)に走り書きした、ふるえる文字の遺書。つぶれた座席は、まともに見るのがむずかしい。つらい。墜落までの飛行をたどる説明からは、なんとか羽田へ引っ返そうと力を振り絞るパイロットたちの姿が浮かびます▼飛行記録に、客室乗務員の声も残っています。墜落9分前。「座席の背に頭を支えて…(不明)…にしてください。赤ちゃんはしっかり抱いてください。ベルトはしていますか?」。彼女たちも、乗客のために最後まで力をつくしました▼「社員一人一人がこの場に立ち、…人の命の尊さ、安全運航堅持のために何ができ、何をすべきかについて自ら学ぶ場」。安全啓発センターについての日航の説明です。その日航が、経営破たんを理由に空の安全の守り手1万6千人を辞めさせようとしています▼パイロットや客室乗務員から本人の知らないうちに仕事をとりあげ、退職を強いる。労働者を人間らしくあつかわないやり方は、乗客を人間として尊んでいるのかも疑わせます。日航の社長室や重役室は、安全啓発センターの隣へ越すべきです。





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