2010年10月26日(火)「しんぶん赤旗」
イラク戦秘密文書暴露
米の犯罪 裁きの場に
中東各紙いっせい社説
【カイロ=伴安弘】内部告発を公開する民間ウェブサイト「ウィキリークス」がイラク戦争に関する米軍の秘密文書を公開し、戦争の残虐性が改めて明らかになったことについて、中東各国の新聞は24日、一斉に社説を掲げ、米国などの戦争責任を追及しました。
アラブ首長国連邦(UAE)の英字紙ハリージ・タイムズはイラクで10万人が殺害されたことについて、「この大量殺戮(さつりく)は、専制からイラク国民を解放し、民主主義を確立するという名の下に行われた。これは偽善であり、残虐行為である」と指摘しました。
「アフガニスタン戦争に関する7万点以上の文書とともに、イラクに関する文書は歴史の価値ある証言である。一つの文明国が他の文明国に対し、富への欲望とどん欲さ、拡張主義のために犯した犯罪の証言である」「この権力の乱用を裁かないわけにはいかない」と強調しています。
サウジアラビアの英字紙アラブ・ニューズは「国際社会はこの暴露を歴史のごみ箱に放り投げて済ませることを許してはならない」と指摘。「上院議員時代、この戦争に強く反対したオバマ(米)大統領は(犯罪を犯した)責任者の追及にイニシアチブを発揮すべきだ」「ナチスの戦争犯罪者が裁判にかけられたように、今イラクで犯罪を犯した者たちを被告席に立たせる時だ」と述べています。
カタールの英字紙ペニンシュラは、秘密文書の公表が「イラク駐留米軍兵士や米国の利益を危険にさらすと米政府は激怒した」が、「その責任が米国政府にあるのは明白だ」と指摘。「この戦争は真実に対する戦争だった。米当局者は戦争が始まる前から、またその後も真実に対し攻撃を加えてきた」と述べました。
ウィキリークス 2007年に公開された匿名の内部告発サイト。オーストラリア人ジャーナリスト、ジュリアン・アサンジ氏が創設者とされます。「非営利メディア組織」を名乗り、各国政府機関が秘匿する機密文書の公開を活動の重要な柱としています。10年4月には、イラクの首都バグダッドで、米軍ヘリがロイター通信の記者を殺害する映像を公開。7月にはアフガン駐留米軍の機密文書7万5000件を公表しました。