2010年10月26日(火)「しんぶん赤旗」
論戦ハイライト
最賃大幅引き上げ 大門議員迫る
大門氏 「欧米並み中小支援を」 菅首相 「好循環になる」
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25日の参院予算委員会で質問にたった日本共産党の大門実紀史議員。「経済危機打開のためには非正規雇用の正社員化とともに最低賃金の大幅引き上げが必要だ」と菅直人首相に迫りました。
オランダ、フランスの半分近く、イギリスの7割弱―。日本の最低賃金は引き上げられたとはいえ時給730円(全国平均)で、「先進国の中でも極めて低い水準だ」と大門氏は主張。ワーキングプア解決のために「最賃の早期引き上げは緊急の課題」と述べるとともに、有効な内需拡大策になると説きました。
大門議員 賃金を引き上げれば国民の消費購買力が増え、モノが売れる。内需中心の中小企業や小売・サービス業にプラスに働く。従業員のやる気を引き出し経営にとってもプラスになる。
菅首相 内需主導経済につながる重要な施策だ。最低賃金引き上げそのものは内閣として積極的に取り組んでいる。制度的な引き上げは否定しないが、雇用を増やすことが好循環につながる。
首相答弁に対して大門議員は、「雇用を増やすことは否定しない。しかし低賃金の非正規労働者が増えるだけでは賃金全体の引き下げの圧力となる。雇用と賃金引き上げの両方が重要だ」と強調しました。
大門氏は、賃金引き上げで人件費が増加する企業への支援策に言及。日本の中小企業支援策は、「大変お粗末」と批判し、欧米諸国と日本の事例を紹介しました。(図)
〈フランス〉
2003年から最賃引き上げの企業に社会保険料の企業負担分減免を実施。3年間で2兆2800億円を投入。
〈アメリカ〉
中小企業負担軽減のため5年間で8800億円の予算を組んでいます。
〈日本〉
中小企業支援策は、最賃680円以下の19県のみを対象にし、総額で62億円にすぎません。うち直接支援策は「業務改善等助成金」10億円、「賃金改善奨励金」31億円。
大門議員 フランスやアメリカは貧困解消対策だけでなく、経済、景気対策として位置づけたのでこれだけの規模になった。世界の例をみて内需拡大の経済対策と大きくとらえてほしい。規模、中身とも思い切った策を。
菅首相 大変、魅力的な提案だ。中小企業を支援することは(経済の)好循環になることは十分可能性がある。効果がでるのか議論したい。“現金バラまき”ともいわれるので具体的な提案をきかせてほしい。
首相にも“魅力”と映った建設的な大門氏の論戦。大門氏は、提示した欧米諸国の施策は現金ばらまきではないとして、「具体策を提案し、最賃引き上げにむけ取り組んでいく」と述べました。
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