2010年10月24日(日)「しんぶん赤旗」
沖縄県知事選
亀裂深める民主党
県連役員離党「イハさん支持」
岡田幹事長「自主投票も」
沖縄県知事選(11月11日告示・28日投票)への対応をめぐって、民主党内の亀裂が表面化しています。
溝埋まらず
民主党沖縄県連副幹事長の山内末子県議は17日、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の「移設」問題をめぐる政府・民主党本部と県連との対立を解消するのは難しいとして離党を表明。普天間基地早期閉鎖・返還、「県内移設」反対などを掲げ県知事選への立候補を表明しているイハ洋一前宜野湾市長を支持すると述べました。
同党内では、政府の辺野古新基地建設方針に反する候補の擁立・推薦は認めないとする党本部と、「県内移設反対」を主張する県連との協議が難航してきました。岡田克也幹事長は21日の記者会見で、「(知事選の対応で)タイムリミットが迫っている」としながら、党本部・県連双方の溝が埋まらないとの認識を示しました。
離党表明した山内氏は、「私は、県民の側に立ち、県民とともにありたい。この時点に至って調整がつかないという状況で、沖縄の人々が民主党に期待した気持ちを生かすには、私が民主党を離れることだと判断しました。基地反対を貫いているイハさんの勝利こそ県民の期待にこたえる道」と語ります。
本部に批判
永田町でも、党本部の対応に批判の声が出ています。沖縄の基地問題に取り組む民主党議員の1人は、「党本部と沖縄県連の間で“ねじれ”の解消に努力するのは当然だが、そもそも“ねじれ”をつくり出したのは本部と政権の方だ」と指摘。「歴史にほんろうされてきた沖縄が、いままたほんろうされている。残念だが、民主党はどんどん自民党化してきている。私たちは、沖縄県民とともに、原点に立ち返って考える必要がある」と語ります。
同党の斉藤勁国対委員長代理も16日、「個人的には、宜野湾の市長さんが立候補され頑張ってほしい」「自主投票の中でも、明確に『伊波さんを』という方がたくさんいればいいわけで、そういう中で行動することは何ら私自身は間違っていないと思う」と述べています。(琉球新報17日付)
沖縄県連関係者の1人は、「普天間問題の対応で鳩山由紀夫首相がつぶれてしまった。その『反動』で菅政権はアメリカ寄りに動いたが、いまそれへの『反動』が出ている。9月の党代表選のときも、沖縄での党員・サポーター投票で、菅さん支持はごく少数だった」と語ります。
岡田幹事長は14日の会見で、独自候補の擁立が困難で「自主投票」となる可能性に触れましたが、「誰がやってもいいという意味ではない。どういう『自主投票』にするかも議論する」と述べました。「自主投票」になった場合でも、選挙運動に拘束をかける意向を示唆したものです。菅グループの関係者の1人は、「私も個人的にはイハを応援したい。しかし、政権はアメリカとの関係しか見ていない。イハ支援は許さないだろう」と述べます。
深刻な矛盾
民主党に生じた政治的亀裂の根底にあるものは、県民との約束を裏切って菅内閣が強行しようとする日米同盟強化・新基地建設路線の深刻な矛盾にほかなりません。沖縄の意思を正面から受け止めない限り、矛盾の拡大は避けられません。(中祖寅一)