2010年10月24日(日)「しんぶん赤旗」
沖縄の豊かな生態系 米軍基地と開発が脅威
COP10フォーラム 問われる日本政府の責任
新基地建設や開発が豊かな生態系の脅威に――地球の多様性に富んだ生き物の保護をめざす生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で23日、「沖縄の生物多様性への脅威と保全」をテーマにした交流フォーラムが開かれ、自然保護に向けた日本政府の責任を問う発言が相次ぎました。
各国政府や国際機関、非政府組織、環境・市民グループなどによる交流フォーラムの一環として世界自然保護基金日本委員会(WWFジャパン)がよびかけたもの。会場の名古屋学院大学には約80人が参加しました。
沖縄(琉球)列島は、名護市の辺野古・大浦湾で生息が確認されている絶滅危惧(きぐ)種のジュゴン、アオサンゴの群集、やんばる(県北部)でのヤンバルクイナなど、その豊かな生態系は「東洋のガラパゴス」といわれる自然の宝庫です。
国際自然保護連合(IUCN)が日本政府に再三にわたってこれらの保護を求める勧告を出すなど、COP10でも注目を集めています。
報告に立ったWWFジャパンの花輪伸一氏は、琉球列島の生物多様性の特性を詳しく解説し、こう指摘しました。「辺野古の米軍新基地計画、東村高江での海兵隊ヘリパッド建設計画やリゾート開発が生物多様性の脅威になっている。地球規模でも豊かな生態系を米軍基地建設で破壊することは容認できない」
沖縄の泡瀬干潟を守る連絡会、ヘリ基地いらない二見以北10区の会、ヘリパッドいらない高江住民の会の各代表がそれぞれの自然の豊かさを紹介し、米軍基地建設や開発による破壊から守り、次代に伝える責任がある、と訴えました。
フォーラムに先立って同会場で開かれた「沖縄ジュゴンの保護と国際責任」(ジュゴン保護キャンペーン主催)では、ジュゴン覚書第1回署名国会議に日本政府が出席しなかったことが指摘されました。「不参加は米軍基地建設問題での日本政府の姿勢を示している。ジュゴン保護の世界的な動きのなかで日本政府の役割が求められている」などの発言が相次ぎました。
フォーラムに地元、愛知県から参加した作業療法士の女性(31)は、「日本政府は(米国などに)弱腰ではないか。政府はもっと住民の声を聞くことからはじめるべきだ」と話しました。
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