2010年10月22日(金)「しんぶん赤旗」
百合子15通の手紙寄贈
党本部に関係者 戦時中の交友
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作家・宮本百合子の15通の手紙が21日、日本共産党中央委員会党史資料室(東京・渋谷区)に寄贈されました。手紙は百合子から片岡春江さん(2007年死去・享年100歳)に送られたもの。
片岡さんの長年の知人であった青木昌生氏が手紙を託され、縁つづきの関係者の了解を得て寄贈の運びとなりました。
片岡さんは1934年、当時の日本共産党の出版物や文書を英語に翻訳する仕事をしていたため、杉並警察署に治安維持法違反で検挙され、その留置場で百合子と出会いました。釈放後も交友関係は続き、手紙は40年から45年にわたって送られたものです。
片岡さんの健康を気遣い、家族を思いやり、日々の暮らしを激励する温かさにあふれた内容です。
〈先日は久しぶりでお目にかかりいろいろあなたの皆さんのお力になってゐらっしゃる御様子を伺って、うれしく存じました〉〈あなたの人生的な、自分を高めまじりけなくする真面目な足どりを感じますから〉〈新しい勉強でさぞ、すがすがしいでせうね〉
困難な時代に、寄り添い、学び合って生き抜いた様子がしのばれます。
青木氏は「片岡さんの志を継いで、この手紙を日本共産党の活動に生かし、日本近代文学と宮本百合子さんの研究に役立ててほしい」と語り、手紙を受け取った党史資料室責任者・岡宏輔氏は「15通という多さからも、今後の百合子研究に大いに資するものだと思います」と謝意を述べました。