2010年10月22日(金)「しんぶん赤旗」

英政府

4年で10兆円減の緊縮策

“景気回復抑える” 野党・労組抗議


 【ロンドン=小玉純一】英国のオズボーン財務相は20日、下院で演説し、財政赤字を2015年にほぼ解消するためとして、今後4年間で810億ポンド(約10兆円)の歳出を減らす緊縮政策を発表しました。野党の労働党や労働組合は、「景気回復を抑え込むもの」と強く抗議しています。

 同計画によると、福祉関連で70億ポンドを削減します。両親のどちらかが年収約600万円以上の世帯に対して児童手当を廃止することや、健康上の理由で就労できない人への手当ての制限などを盛り込みました。

 また国民医療サービス(NHS)と海外援助を除く部門を対象に、各省平均で19%を削減します。

 このほか、年金支給開始年齢を2020年までに66歳に引き上げると発表。公的部門の人員削減で、全体の8%に相当する49万人が失業する可能性があるといいます。

 財務相の演説後、ロンドン市内では、緊縮政策に反対する抗議デモが起きました。

 同国最大の公務員労組UNISON(組合員約130万人)は、「公的部門の50万人削減は民間の失職にもつながり、税収を減らし、失業手当の支出を増やすことになる」と批判。公共商業サービス労組PCS(組合員約30万人)は、「子どもをもつ世帯や就労できない人を標的とする福祉国家への根本的攻撃だ。金融部門が引き起こした危機のつけの多くを貧困者に払わせようとしている」と批判しました。

 英国の財政赤字は国内総生産(GDP)比約11%。日本を除くG7(主要7カ国)で最大規模です。


 英国の国民医療サービス(NHS) 第2次世界大戦後、1945年に発足したアトリー労働党政権のもとで「揺りかごから墓場まで」をスローガンに導入された英国の福祉制度の柱の一つで48年に設立された国営の医療サービス制度。支払い能力にかかわらず、だれもが公平にサービスを受けられる医療機関で基本的に無料です。ほぼ全額が税金でまかなわれています。





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