2010年10月19日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
来年から使われる小学校の教科書。ある出版元が算数の教科書の内容と「道徳教育」とを関連させた対照表を作りました▼こんなぐあいです。1年生では「いまなんじ」の単元で「よりよい生活習慣の形成の材料にする」→「基本的な生活習慣」。2年生では「ひき算」で「話し合いにおいてお互いの考えや意見を尊重する」→「友情」。3年生の「三角形と角」で「しきつめられた図形の美しさについてふれる」→「畏敬の念」▼こじつけのように感じられます。中には「昔の長さの単位」の項で「昔の長さの単位についてふれ、関心を高める」→「郷土愛、愛国心」(3年)、「メートル法」の単元で「外国での単位の表現、日本古来の単位について知る」→「愛国心、国際理解」というものもあります▼なぜこんな表がつくられたのでしょう。来年から全面実施される新学習指導要領のもと、すべての教科で「道徳」を行うことになったからです。算数でも「算数科の特質に応じて適切な(道徳の)指導をすること」とされました▼学校での道徳教育はもちろん大切です。しかし、こんなやり方でモラルが育つでしょうか。対照表で「道徳教育」に位置づけられた「愛国心」などの「徳目」は、多くが改悪された教育基本法などに盛り込まれたものです▼国家が求める「道徳」と算数を強引に結び付けた結果がこの表です。無理なこじつけはやめ、憲法に基づいて「人権」や「民主主義」について考える道徳教育ができるようにしてほしいものです。