2010年10月18日(月)「しんぶん赤旗」

B型肝炎訴訟

真実を広く

全国つなぎ学生シンポ


 学生が主催する「B型肝炎訴訟全国一斉学生シンポジウム この涙を止めるために、同じ涙を流させぬために」が17日午後2時から、札幌、東京、大阪、福岡で一斉に行われました。B型肝炎訴訟を支援する学生の会(オレンジサポート)が主催。


テーマソングを披露

東京

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(写真)B型肝炎訴訟の現状や原告の被害実態について話し合った学生シンポジウム=17日、東京都内で

 東京ではインターネットや電話で他の3会場と連帯メッセージを交換。医学生がB型肝炎について研究発表しました。

 集団予防接種で感染した母親から母子感染した原告の手記を学生が発表しました。

 原告は持続感染しているものの発症していない無症候性キャリアー。「突然肝がんを発症することもあり、3歳と1歳の子どもを親として育てることをまっとうできるか不安です。国は被害がないかのように言うがよく言えたもの」とキャリアーを救済しない国の態度を批判。「国民に国の過ちを伝え謝罪せよ」と訴えました。

 訴訟の現状について弁護団から報告。朗読劇、テーマソングが披露(CD発売)されました。

 学生からの提言として(1)訴訟の真実を多くの人に伝える(2)偏見・差別を無くす(3)早期発見・早期治療のために検査、検診の実施が発表されました。

 東京訴訟原告団副代表の石川冬美さん(32)は「被害について語ることは楽しいことではありませんが真実を知る契機となり、学生の皆さんがこのように広めてくれました。原告が無理難題を言っているのではないことも国民にわかってもらえると思います」と学生たちに感謝しました。

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が「皆さんの活動がどれほど原告を勇気づけ、世論を喚起するうえで力になっている」とメッセージを寄せました。

「発症いつ」恐怖切々

札幌

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(写真)原告の陳述書を朗読する学生たち=17日、札幌市

 札幌では60人が参加しました。

 オレンジサポート北海道代表(21)=北海道大学医学部2年=は、「B型肝炎についての間違った理解や偏見をなくし、原告を激励したい」とシンポジウム開催の目的を話しました。また、「患者は肉体的、精神的、金銭的に苦しんでいます。日常生活では感染しないのに、医療機関でさえB型肝炎患者に誤った差別的な扱いをしているところがあります」と指摘しました。

 北海道訴訟原告団の3人が報告しました。

 匿名原告の女性は「B型肝炎ウイルスのキャリアーと知り、看護師の道をあきらめて結婚にも踏み切れなかった。いつ発症するのか、という恐怖に終わりはありません」と語り、無症候性キャリアーを救済の対象から除外しようとする国を批判しました。

 学生たちが、裁判での原告の陳述書を朗読すると、参加者は涙をぬぐいながら耳を傾けていました。

 日本共産党の伊藤りち子札幌市議が「国会と連携して支援を進めます」とあいさつをしました。

「余命3年」患者訴え

福岡

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(写真)ネットを使い、全国中継する福岡の「オレンジサポート」のメンバー=17日、福岡市早良区

 福岡では、120人の患者や支援者らが集いました。学生らは「B型肝炎問題を究極に分かりやすく解説する」と、会場参加型の「出前講義 B型肝炎訴訟って?」を熱演しました。

 「講義」は集団予防接種での注射器使い回しでどう感染が拡大したのか、患者への差別や偏見、進行中の裁判について学生役が疑問を投げかけ、それに講師役が答える形式で進行。「解決はみなさんの声が一番の後押しだ」と呼びかけました。

 シンポでは、九州訴訟原告で、「余命3年」の宣告を受けた男性(63)のたたかいをインタビューするなどして描いたドキュメンタリー「B型肝炎と向き合って」を上演。シンポジウムの最後に、代表の女性(21)=福岡大学=は「被害を知ることが支援の第一歩。生きてみんなで解決を、早期和解解決を」と力強く呼びかけました。

 シンポジウムの感想を問われ、感無量の面持ちで舞台に立った原告の男性は「やっと(裁判の)先が見えてきた。国の医療行政の誤りをただすには、原告が頑張る以外にない。これからも支援を」と学生らに謝意を表明。全国原告団代表の谷口三枝子さんは「涙があふれた。なんとしても年内の基本合意を目指したい」と決意表明しました。18日は福岡地裁での和解協議が行われる予定です。





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