2010年10月16日(土)「しんぶん赤旗」
検審議決 小沢氏が提訴
強制起訴恐れ時間かせぎ
民主党の小沢一郎元代表に対する東京第5検察審査会の起訴議決は違法で無効だとして、小沢氏は15日、国を相手に、議決の取り消しや検察官役となる弁護士の指定差し止めを求める行政訴訟を東京地裁に起こしました。強制起訴の手続きが始まるのを避けるため、指定の仮差し止めなども合わせて申し立てました。
小沢氏は、資金管理団体「陸山会」が2004年に購入した土地の代金を同年分の収支報告書に支出として記載せず、05年分に記載したとして、政治資金規正法違反容疑で告発され、不起訴処分とされました。
これに対し、同審査会は4月の議決で小沢氏を起訴相当としました。2回目の議決では、陸山会が小沢氏から借り入れた4億円を収支報告書に収入として記載しなかったことも「犯罪事実」として認定。小沢氏を起訴すべきだと議決し、強制起訴されることになりました。
弁護士によると小沢氏側は、告発内容や1回目に含まれていない内容を付け加えた2回目の議決について、「検察審査会の権限を逸脱してなされたもので、その全体が無効だ」などと主張しています。
しかし、検察審の議決は行政訴訟の対象とならないとする最高裁判例もあり、「門前払い」になるのでは、という見方もあります。真相解明をおそれた時間かせぎではないのか、という指摘もあります。
国民の前で説明こそ
東京第5検察審査会の2度にわたる「起訴相当」の議決で強制起訴が決まった小沢氏の政治資金規正法違反容疑は、資金管理団体「陸山会」が2004年に購入した土地代金を、04年分の政治資金収支報告書ではなく、05年分に記載したという「虚偽記載」です。
2回目の議決は、土地購入の原資となった「小沢氏からの借入金4億円」を04年分の報告書に記載しなかったとする容疑も「犯罪事実」に含めました。
小沢氏側は、この「追加」を「けしからん」「検察審査会の権限逸脱」といっているわけです。
しかし、追加分は、小沢氏の元秘書らの起訴内容には含まれています。刑事訴訟法には、「公訴事実の同一性を害しない限度において、訴因、罰条の追加、変更ができる」(312条)という規定があります。
小沢氏は、問題の土地購入資金の出所、原資について、「献金してくれた皆さまのお金(政治資金)」「銀行融資」「積み立ててきた個人の資金」「家族名義の預貯金だ」などと説明を、二転三転どころか、くるくると変えてきました。
小沢氏の地元、岩手県に建設中の胆沢(いさわ)ダム関連工事を受注している中堅ゼネコン「水谷建設」などからのヤミ献金が原資ではないのか、というのが疑惑の核心です。
小沢氏がおこなうべきことは、みずからの疑惑について説明責任をはたすことです。(「政治とカネ」取材班)