2010年10月16日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 ノーベル賞の季節が終わりました。2008年に物理学賞を受けた益川敏英さんは、受賞を予測していたといいます▼「(物理学賞には)一定のルールがある。業績が発表された順に…古いほうから評価されていく。その順番をみると…二〇〇八年の可能性がいちばん高かった」(新日本出版社『学問、楽しくなくちゃ』)▼なるほど。平和賞にも、一定のルールがあるかもしれません。1970年代から21世紀初めまで、だいたい10年ごとに、核兵器とかかわりの深い人や核軍縮につくした人たちが平和賞を受けています▼1974年に元首相の佐藤栄作氏。「核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則を唱えた人です。85年、核戦争防止国際医師の会。95年、核兵器の廃絶を訴える科学者の集まり、パグウォッシュ会議と会長のロートブラット氏。2005年は、国際原子力機関(IAEA)とエルバラダイ議長でした▼昨年、オバマ米大統領が受賞しました。理由の一つが、大統領の「核兵器のない世界を」のよびかけと行動でした。IAEAの受賞から、まだ4年。“ルール”があるとすれば、早すぎました▼1年後、大統領はほめ言葉ではなく抗議を浴びています。古い核兵器が使えるかどうかを試す未臨界核実験は、「核兵器のない世界を」の誓いに反するではないか。佐藤氏は、実は米政府との間で、非核三原則にそむいて“核密約”を結んでいました。政治家の場合、よくよく見定めないと「平和賞」が泣きます。





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