2010年10月16日(土)「しんぶん赤旗」

主張

小沢氏証人喚問

「密室で弁明」は通用しない


 みずからの資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で、検察審査会の議決で「強制起訴」が決まった小沢一郎民主党元代表の国会での証人喚問が焦点となっています。

 小沢氏自身は「国会が決めれば従う」というだけで、すすんで説明責任を果たす態度ではありません。民主党内には予算委員会での証人喚問ではなく、非公開の政治倫理審査会で説明を求めるという動きさえあります。「密室で弁明」などというのは許されません。小沢氏も民主党も証人喚問要求にこたえるべきです。

偽証の恐れあるからこそ

 検察審査会の議決で強制起訴が決まった小沢氏の政治資金規正法違反容疑は、「陸山会」名義の4億円もの土地購入の資金の流れについて、政治資金規正法で正しく届け出なかったという「虚偽記載」の疑いです。同事件ではすでに現職の衆院議員を含む小沢氏の3人の元秘書が逮捕・起訴され、裁判中です。秘書が勝手にやったというのは通用しないと、検察審査会が小沢氏を起訴すべきだとしたのは当然です。小沢氏は議決の違法性を訴えて行政訴訟を起こしましたが、議決が気に入らないからとその取り消しを求めるなどというのは悪あがきそのものです。

 しかも起訴された容疑についての黒白はこれからの裁判を通じて明らかになると、「推定無罪」の原則を持ち出して小沢氏への追及をかわそうなどというのは通用しません。刑事責任と政治的道義的責任はもともと別の問題であり、国民の選挙で選ばれる国会議員は疑惑がもたれただけでも国民の前に説明する重大な責任を負います。そのうえ小沢氏の疑惑は、みずからの政治資金を公開することで国民の点検を受ける政治資金規正法に違反した疑いです。裁判の手続きと並行して、国会で真相を解明し責任を明らかにするのは、政治家としての当然の責任です。

 この問題で小沢氏はみずからの「潔白」を主張してきただけでなく、問題の土地購入資金の出所について、政治資金だ、みずからの蓄えだ、家族の預貯金だと説明をくるくる変えてきました。実際の資金の出所は、地元の小沢事務所が深くかかわった公共事業を受注した建設会社からの闇献金の疑いが濃厚です。まさに小沢氏の説明の真実性が強く問われており、小沢氏が国会で真実を語るよう求められるのは当然です。

 昨年問題が発覚して以降小沢氏はただの一度も国会で説明したことはありません。民主党が持ち出そうとしている政治倫理審査会は取材も許さず、記録も残らない「密室」です。議院証言法にもとづく証人喚問なら偽証に対し告発することもできます。国会での小沢氏への追及は「密室」ではなく証人喚問でおこなわれるべきです。

菅首相の責任が問われる

 民主党の代表でもある菅直人首相は国会での追及に、「最終的なところでは私が判断する」といいだしました。判断するというなら証人喚問にこたえるべきです。政党として小沢氏の疑惑を調査せず、幹事長辞任で「決着」がついたと小沢氏任せの態度をとり続けてきた菅首相の責任は重大です。

 菅首相と民主党があくまで証人喚問を拒み続けるなら、小沢氏同様、疑惑にふたをするという国民のきびしい批判を免れません。





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