2010年10月14日(木)「しんぶん赤旗」

若者の未来を奪うな

衆院予算委 笠井議員の質問

長期化・早期化・複雑化

強いられる異常な就活


 “超氷河期”といわれる新卒者の就職難を13日の衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員が取り上げました。深刻な実態を打開する道はどこに―。

 3月時点で、就職も進学もせずに進路未定となった大学生は8万7000人。就職を希望しても、一度も就職試験も受けられず、卒業せざるを得ない高校生が3分の1を超える地方も出ています。

学業両立せず

 第一は、就職活動が早期化・長期化し学業と就職活動が両立しないという問題。笠井氏は2004年ごろまでのスタイルと比べ7カ月以上も早くなっている実態をパネルで示しました。企業との接触が始まるのは3年生の7月ころ。その後1年以上も続くことになります。笠井氏は「就職するために大学に入ったようだ」と悲痛な声を紹介し、「就職活動が学業を圧迫している事態はただちに解決すべきだ」と求めました。

精神的な苦痛

 第二は、学生への精神的・肉体的負担と苦痛を与えていること。

 就職希望者を企業が何度も呼び出し面接を繰り返すのが当たり前になっています。採用決定までのスケジュールを明らかにせず、一般常識からかけ離れたやり方も横行しています。笠井氏は「いつ呼び出されるか、いつ面接があるかも分からない。バイトもできず、授業もまともに出られない」との学生の声も示し、政府の対応を迫りました。

基準あいまい

 第三の問題は、企業側の採用の基準があいまいで、学生の人格を踏みにじるやり方。

 面接では「どれだけストレスに耐えられるか」をみると称して意図的に侮辱的な問いかけをする「圧迫面接」が行われたり、「労働条件を質問するのは禁句」だとされる実態を示す笠井氏。「こんな学生の人権を無視する理不尽はただちになくすべきではないか」とただしました。

 新卒者の就職活動が「早期化、長期化、複雑化し、学生の負担が大きくなっている」と認めた菅首相。「経済界、労働界、大学などが一体となって取りくむことが重要。経済団体に早期の採用選考活動の抑制などを要請している。面接については学生に人格を傷つけることがないよう公正な採用選考について注意を促していきたい」と答えました。

図

企業任せでノンルール状態

3者でしっかり協議を

 新卒者の就職難打開へ何が求められるのか。笠井氏は「今すぐにも政府自身がテーブルをつくり、大学、経済界、政府の3者による協議を始めるべきだ」と提起。緊急措置として、就職活動にかかる経済的負担の軽減を要求しました。

 高木義明文科相は「一つのテーブルについて検討の場をできるだけ早く開会できればと思っている」と答弁しました。負担軽減について細川律夫厚労相は「経済的支援を直接するのはむずかしいが、いろんな形で就職支援をしていきたい」と述べました。

 かつて就職協定が結ばれていましたが、違反企業が後を絶たず廃止され、その後は、日本経団連の「倫理憲章」という企業側の自己責任に任せるノンルールの状態が続いていました。笠井氏は「企業側の自己責任に任せるやり方のもとで事態が加速度的に悪化してきた」と指摘。「政府の役割は決定的」として、「政府、経済界、大学の間でしっかり協議して必要なルールを確立し実効性を持たせることを求めたい」と力説しました。

正規雇用を増やせ

内部留保の還流で

首相 おっしゃることは賛成

 笠井氏は、新卒採用を増やす上で重要なこととして大企業の責任に言及しました。

 生産も利益も「V字」回復。ところが、「使い捨て」できる派遣や期間社員など非正規雇用で対応し、正社員を増やそうとしていません。製造業の大企業(従業員500人以上)が雇用している労働者は、1994年の269万人から187万人と82万人、30%も減っています。

 笠井氏は、新卒の正社員をきちんと確保しないと、社員の年齢構成にひずみが生まれ、企業側にとってもマイナスだと指摘。「非正規雇用を拡大した労働法制の規制緩和を抜本的に見直し、雇用のあり方を非正規雇用から正規へと転換することが必要だ。そのためにも労働者派遣法の抜け穴だらけの政府案を抜本的に見直し、雇用は正社員が当たり前の社会に踏み出すべきだ」と求めました。

 菅首相は「非正規雇用が増えたことが背景にあると思う」とのべました。

 大企業は空前の「金余り」状態。大企業が1年間で増やした内部留保は11兆円にのぼります。笠井氏は、内部留保増加分の3・4%分を使えば新卒者15万7000人を雇用できる試算も示し、経済界に新卒者の採用増を強力に働きかけるべきだと促しました。

 菅首相は「おっしゃることは賛成」と答弁。

 笠井氏は「いまこそ大企業が内部に滞留している巨額の資金を、投資や雇用などの生きたお金として、日本経済に還流させることが日本経済の危機打開のために不可欠だ。そうやって家計を直接応援し、内需を底上げする政策の転換が必要だ」とのべました。

図

普天間基地「負担軽減」に逆行

オスプレイ配備許すな

 「普天間基地周辺住民と沖縄県民に新たな負担を押し付けることになる」―13日の衆院予算委員会で、日本共産党の笠井亮議員は、米国が「移転」するはずの沖縄県・米軍普天間基地を増強し、垂直離着陸機MV22オスプレイ配備計画を進めている問題を取り上げ、米国にたいし計画撤回を求めるよう政府に迫りました。

 笠井氏が示した増強計画は、米海兵隊が公表した「2011会計年度の航空機配備計画」。(1)「普天間代替施設」の建設が遅れたり中止になった場合、オスプレイ部隊配備のため普天間基地に新たな施設を建設する(2)普天間基地が「最終的に閉鎖され代替施設に移るまで100%の運用可能が求められる」―と明記されています。

 笠井氏は、「アメリカ側は、名護市辺野古への『移設』という日米合意の実行を求める一方、普天間を継続的に使用し、オスプレイ配備のための新たな施設建設を行い、辺野古が建設されるまで運用しようとしている」と迫りました。

 北沢俊美防衛相は、「あくまでも米海兵隊の計画で、国防総省が認めたわけでない」としながら「(日米の)事務方の協議で議題になっているのは事実」とも述べました。

 笠井氏はさらに、普天間基地に配備されている中型ヘリ2中隊が、12年と13年にカリフォルニア州ミラマー基地所属のオスプレイ中隊と交代し、普天間基地または「普天間代替施設」にオスプレイ飛行訓練装置を設置することが同計画に明記されていることを示し、「2012年からオスプレイを普天間基地に配備、運用することになる」と追及しました。

 北沢防衛相は、海兵隊の「配備計画」は、普天間基地の「移設」が進まない中「海兵隊が我慢してきたもの」などと発言。さらに、そうした事態にならないために「2014年をめざし代替施設建設にむけ最大限努力する」と述べるだけで、普天間基地の増強計画を否定できませんでした。

 「我慢しているのは海兵隊ではなく沖縄県民だ」―こう指摘した笠井氏は、オスプレイが▽ヘリコプターよりはるかに巨大な高速強襲輸送機▽不安定な構造のため相次いで事故を起こしている▽騒音の増大が懸念されている―“問題機”である事実を示し、「沖縄県民は『世界一危険な普天間基地』の危険性がますます高まることに恐怖を感じている。『基地負担と危険の軽減』をいうが、これは負担の増強ではないのか」と指摘。「危険だ、やめろと、アメリカにしっかり言うべきだ。そのことを申し上げたい」と主張しました。

図




もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp