2010年10月13日(水)「しんぶん赤旗」

前田元検事起訴

組織ぐるみ 立証が焦点

検察の犯罪 根深い病根


 大阪地検特捜部の元主任検事前田恒彦容疑者(43)が郵便料金不正事件にかかわって証拠隠滅罪で起訴されたことにより、今後の捜査の焦点は、前田元検事による証拠改ざんを隠したとされる前特捜部長大坪弘道(57)、前副部長佐賀元明(49)両容疑者の犯人隠避容疑の立証に絞られました。2人は全面否認を続けていますが、「個人の犯罪」ですまされない、検察組織の病根がきびしく問われています。(検察問題取材班)


 最高検の伊藤鉄男次長検事は11日午後、前田元検事の起訴後の記者会見で、「従来、検察は証拠の具体的内容を発表することを控えているが、今回は検事が証拠を改ざんするという不祥事で、厳しい批判を受けている。可能な範囲で詳細を説明する」とのべ、前田元検事の供述内容なども明らかにしました。

 「構図に合わない証拠は排除しなければならないと思った」。前田元検事はこう供述しているといいます。

 前田元検事が描いた構図は、厚生労働省元局長が「2004年6月上旬」に部下の元係長に、自称障害者団体「凛の会」への偽証明書作成を指示したというもの。フロッピーディスク(FD)に保存された偽証明書の文書の最終更新日時を「04年6月1日」から「6月8日」に改ざんしたのは、みずからが描いた構図と物的証拠とのつじつまを合わせるためのものでした。

 こうした改ざんについて、同僚検事からの報告を受けた佐賀容疑者は、前田元検事に電話で経緯を確認。その結果を大坪容疑者に伝えています。

 この際のやりとりについては、「意図的に改ざんした」とする前田元検事に対し、大坪容疑者らは「誤って書き換えたと報告を受けた」と供述。主張は、大きく食い違っています。さらに前田元検事は佐賀容疑者から「部長の指示で、過失でいく。いい方法はないか」と聞かれ、「FDを確認していたら、誤って書き換わってしまったということでどうでしょう」と提案したと詳細に供述しています。

 最高検の立証の柱は、2人に隠ぺいを指示されたという前田元検事の供述。物証が乏しいなか、最高検は難しい捜査を強いられています。

 最高検の伊藤次長は、会見で「主任検事が物的証拠を軽視し、供述に寄りかかりすぎた」と認めましたが、改ざん報告を放置し、ずさんな捜査を見逃した検察上層部の責任も重大です。





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