2010年10月13日(水)「しんぶん赤旗」
衆院予算委 経済対策
内部留保還元で議論
衆院予算委員会で12日から基本的質疑が始まり、初日は民主、自民の両党が質問に立ち、小沢一郎元民主党代表の証人喚問問題や経済対策、尖閣諸島問題などが議論になりました。
注目されたのは、民主党から「基本的には『大企業とか高額所得者とかの所得が上がれば、中小企業の利益はおのずから増える。そうすればおのずから国民の所得も増えるだろう』という新自由主義の考え方がとられてきた。その結果は、みるも無残な状況だ」(城島光力政調会長代理)との主張が出されたこと。
城島氏は「この10年間をとらえても、大企業はバブル期を上回る利益率をあげているのに、正社員が400万人減り、平均賃金も家計収入も下がりっぱなし。こういう国は日本だけだ」と述べ、デフレ脱却のために「まっとうな再配分をして、家計を潤す」よう求めました。
これに対して、菅直人首相は、「(大)企業は200兆円の内部留保を抱えている。しかし、企業も個人もお金を使うより持ったままの方が安心だとしてお金が回らない」との認識を示したものの、労働者派遣法の抜本改正や最低賃金の大幅引き上げなど実効性のある内部留保の還元策にはふれませんでした。
一方、菅首相は、アジア太平洋地域の貿易自由化実現を目指す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などについて「“国を開く”には、ある意味で大変な痛みというか、いろんな問題も同時に発生する」と述べつつも、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で議論を進める考えを示しました。民主党の山口壮政調筆頭副会長に対する答弁。
山口氏は、「国会議員がみな(坂本)竜馬になったつもりで“開国”に向けて命をかけて取り組もう」などと呼びかけました。
しかし鹿野道彦農相は「国を“開きっぱなし”にするというのでは、大きな問題を起こす」と述べました。
経済危機の打開策をめぐっては、日本共産党の志位和夫委員長が7日の本会議で、大企業の巨額の資金を投資や雇用に還流させる必要があると主張。労働者派遣法の抜本改正など家計を直接応援し、内需を底上げする政策への転換を求めています。
一方、自民党の石破茂政調会長は同日の予算委員会で、「CO225%削減、最低賃金千円、派遣法の改正。このようなものは『アンチビジネス』以外の何ものでもない」などと述べ、財界の身勝手な主張を代弁。「法人税を下げないでどうして日本企業は外国と対抗できるのか」「消費税の議論からも逃げないでください」と迫りました。