2010年10月11日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 香川県の高松港から船で約20分の大島。ハンセン病の元患者約100人が暮らす国立療養所「大島青松園」を訪れる人が増えています。瀬戸内海の七つの島々などで開催中の瀬戸内国際芸術祭(7月19日から10月31日)の舞台の一つになっているからです▼同島では、美術系大学の学生らが中心となって「アートで大島と外とをつなげていく」という企画に取り組んでいます。記者も芸術祭の一見学者として同園を初めて訪ねました▼案内役は「就職活動中」というボランティアの女子学生。「ハンセン病のことはあまり知らなかった」といいますが、患者が強制隔離され人権無視の扱いを受けた歴史を詳しく説明してくれました▼入所者が描いた絵や写真には、風雪を知る人の温かさがにじみます。衝撃的な展示は、海辺から掘り出されたという「人体解剖台」。あまりに重い事実を前に言葉を失いました▼島では、入所者が育てた野菜を使った昼食をおいしくいただきました。空は快晴。コバルトブルーの海。心地よい風を感じながら、昨年国会でハンセン病問題の決議を全会一致で決めたことを思いおこしました。入所者が最後まで安心して暮らせるように国が責任をもつという約束です▼ところが厚生労働省は、大島と高松港を結ぶ官用船を一部民間委託する方針です。日本共産党の高橋ちづ子衆院議員、仁比聡平前参院議員らは先月、国が運航に責任を持つよう厚労相に要望書を提出しました。「大島と社会を結ぶ唯一の足」を守るべきです。





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