2010年10月11日(月)「しんぶん赤旗」
「尖閣」解決 外交力で
NHK討論 市田書記局長が主張
日本共産党の市田忠義書記局長は10日、NHK番組「日曜討論」に出演し、尖閣諸島問題、補正予算を含む経済対策、強制起訴される小沢一郎元民主党代表の問題について各党の幹部と討論しました。(詳報)
軍事力増強論を批判
尖閣諸島問題では、与党・国民新党の下地幹郎幹事長が「自分の国は自分で守るという観点をつくっておくべきだった」などと述べ、国境近くの沖縄県先島諸島への自衛隊配備を主張しました。
これに対し、市田氏は、「日本政府に欠けているのは、むしろ外交力だ」と指摘。領有権を主張する中国側の言い分に理がないことを示しながら、1972年の日中国交正常化以来、歴代政権が尖閣諸島の日本の領有の正当性をまともに主張してこなかったことを批判し、領有の正当性を堂々と主張する外交努力を求めました。
その上で、領海を守るという点では「海上保安庁が警察活動や領海警備をきちんとやることが必要だ」と指摘。今回の漁船衝突事件を契機として自衛隊の増強などを行えば、「かえって日中の『戦略的互恵関係』を危うくする」と批判しました。
一方、自民党の石原伸晃幹事長は、「先島諸島の防衛力強化は国益だ」などと下地氏に同調。「たちあがれ日本」の与謝野馨共同代表は、「外交は軍事力を背景にしないといけない。日本には日米安保条約しかない」などと述べました。
市田氏は、「軍事力でものごとを解決する時代は過去のものになっている」と強調。現在、世界では実態的に機能している軍事同盟が、北大西洋条約機構(NATO)、日米、米韓、米豪の軍事同盟の四つだけであることにふれながら、「あの(日中国境付近の)海域を平和・友好・協力のものにしようというのは日中間でも合意しているわけだから、『戦略的互恵関係』の立場で、中国に自制を求めていく。何かあれば日本も軍事力の増強という対応では問題の解決にはならない」と述べました。
民主党の岡田克也幹事長は、「島しょ防衛は(今度の)防衛大綱の中にも位置づけられるはずだ。ただ、尖閣の事件をむすびつけて議論するのはいいことではない」などと述べました。