
2010年10月10日(日)「しんぶん赤旗」
古田裁判官 回避せず
世田谷国公法弾圧 弁護側に通知
最高裁
世田谷国公法弾圧事件(2005年9月)の弁護団が最高裁の古田佑紀裁判官に対し、不公平な裁判をするおそれがあるとの理由で同事件の審理を回避(裁判に加わらない)するよう勧告していた問題で、最高裁第2小法廷が、同裁判官は審理を回避しないことを弁護団に通知したことが9日、わかりました。通知は6日付。弁護団は改めて回避を求める回避勧告補充書を提出しました。
国家公務員が職務と関係なく行った「しんぶん赤旗」号外配布が国家公務員法と人事院規則に違反するとして不当逮捕、起訴された、同事件および国公法弾圧堀越事件(04年3月)の二つの弾圧事件は、いずれも同小法廷に係属されています。
古田裁判官は03年9月から04年12月まで最高検察庁次長検事を務め、堀越事件の捜査を指揮しました。
弁護団は9月22日、同裁判官に対し、検察官として指揮した堀越事件と、争点が同一である世田谷事件の双方について、不公平な裁判をするおそれがあるとして回避を勧告。同裁判官は堀越事件のみ自ら回避を申し立てました。
弁護団が今回提出した補充書では、(1)同裁判官は最高検次長検事として堀越事件の起訴に同意した(2)その際、国家公務員の政治活動の一律禁止を合憲とした猿払事件最高裁判決(1974年)や、国公法を適用して国家公務員の政治活動を処罰することを妥当と判断した(3)堀越、世田谷両事件は公訴事実や罪名、適用された法律の条文のすべてが一致している―と指摘。同裁判官が検察側の法律的見解に立って審理に臨む可能性がきわめて高く、公正な審理が期待できないとして回避を求めています。