2010年10月10日(日)「しんぶん赤旗」
アラブ連盟 パレスチナ方針支持
中東和平 入植拡大なら交渉中断
【カイロ=伴安弘】アラブ連盟の外相会議(和平問題委員会)が8日、リビアのシルテで開かれ、行き詰まり状態にあるイスラエルとパレスチナ間の中東和平交渉について論議しました。
会議は、イスラエルが占領しているパレスチナ・ヨルダン川西岸で入植地拡大を続ける場合、パレスチナ側が直接交渉を打ち切ることを支持すると表明。同時に直接交渉の仲介役を果たしている米国に対し、今後1カ月間、行き詰まり打開に努力するよう求めました。
同地からの報道によると、会議には16カ国の外相のほか、パレスチナ解放機構(PLO)のアッバス議長(自治政府議長)が出席。連盟のベンハッリ副議長は会議後、「われわれは交渉再開のために入植活動の全面停止を呼びかけたアッバス議長の立場を支持する」との声明を読み上げました。
会議議長を務めたカタールのハマド外相は「和平交渉を再開するための適切な条件と環境を準備し、入植活動の停止を含め、交渉が正しい軌道に戻るよう米国が努力を続けることを要請した」と述べました。外相レベルの和平問題委員会は1カ月後に会議を開き今後の措置を決定するとしており、事実上、1カ月間の猶予を米国に与えました。
会議前にアッバス議長は、パレスチナ側は直接交渉を続けたいが、イスラエルがユダヤ人の住宅建設を続けるのであれば、交渉は続けられないとし、「和平にチャンスを与えるよう3〜4カ月間」イスラエルが入植活動を停止するよう求めました。
PLOのアリカット交渉担当者は会議後「イスラエル政府は和平と入植のどちらを選ぶのかの選択を与えられた。この問題ではイスラエルだけが責任を負っている」と語りました。
7月29日に開かれた和平問題委員会はイスラエルのパレスチナ・ガザ地区侵攻(2008年12月〜09年1月)で中断していた和平交渉の再開に「ゴーサイン」を出し、直接交渉は先月初めに始まりました。しかしイスラエルが10カ月間の西岸での入植活動の停止を延長しないと決め、国際法違反の入植拡大を急ピッチで進めており、交渉の継続が危機に陥っています。