2010年10月10日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 昨年1月、赤旗編集局に年配の男性読者から電話がありました。「この記事は本当のことなのですか」▼都内の小学4年の男児が、通りすがりの人に食べ物をねだっていた、という記事でした。連載「子どもと『貧困』」第1回。男児の母親は、障害を抱えています。祖母が亡くなると、男児は食事を学校の給食に頼りました▼給食のない夏休み。プール登校の男児に、教職員がおにぎりやカップメンを持たせる。「お母さんに持って帰っていい?」と聞く男児。しかし、プールも休みのお盆の間、彼にはねだるしかなかった…▼担当記者が、読者の問い合わせに「私が取材しました」と答えると、先方はしばし絶句し、涙声でいいました。「こんなことが今の日本で起きているとは。なんとかしなくては…」。いらい1年あまり続いた「子どもと『貧困』」が、1冊に編まれました▼『「誰かボクに、食べものちょうだい」』(新日本出版社)。連載中、どれほど多くの人が「なんとかしなくては」と思ったことでしょう。弁護士の宇都宮健児さんも、「貧困の連鎖を断ち切る上で貴重な書」と推しています▼宇都宮さんが会長の日本弁護士連合会は、先の人権擁護大会で決議しました。「貧困の連鎖を断ち切り、すべての子どもの生きる権利、成長し発達する権利の実現を求める」と。「本来保障されるべき教育・支援を奪われ…、親の貧困が子どもの貧困に繋(つな)がる」(決議)連鎖。断ち切る力は、「なんとかしなくては」と思う人々のつながりから。





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