2010年10月6日(水)「しんぶん赤旗」
第41期将棋新人王戦
決勝3番勝負 あすから
加來赤旗名人 前例なきアマ代表
阿部四段 今期の勝率トップ
加來博洋赤旗名人(29)の決勝進出で注目を集める第41期将棋新人王戦(しんぶん赤旗主催)はいよいよ7日(木)から決勝3番勝負第1局が東京・将棋会館で始まります。対する阿部健治郎四段(21)は今期これまで勝率トップを走る絶好調ぶり。勝負のゆくえに目が離せません。
加來さんは、昨年の赤旗全国囲碁・将棋大会(赤旗名人戦)で優勝し赤旗名人となったため今期の新人王戦にアマチュア代表として出場しました。プロ棋戦の決勝にアマが進出すること自体が前例のないことです。
アマとはいえ奨励会三段リーグで上位に位置した経歴をもつ実力者です。1回戦で第38期新人王の村山慈明五段、準々決勝で第39期新人王の佐藤天彦五段、2人の新人王経験者を破りました。
形にとらわれない力戦派。準決勝の西川和宏四段戦も最終盤の大逆転勝利でした。奨励会時代に、阿部三段(当時)と3回の対局があり、3回とも加來さんが勝っています。
一方の阿部四段もプロデビュー後わずか1年での決勝進出です。三段リーグでの3連敗をリベンジする機会でもあります。
新人王戦では小泉祐三段、及川拓馬四段(広瀬章人新人王を破り勝ち上がり)らを連破。さらに2期連続準決勝に駒を進めた関西若手の注目棋士・菅井竜也四段に勝ちました。
6月から8月初頭にかけての9連勝を含め、これまでの成績は19勝3敗。勝率ランキングは0・864で第1位です。9月16日の里見香奈女流名人・倉敷藤花戦以来、現在5連勝中。9月29日には王座戦予選で富岡英作八段を破りました。
落ち着いて臨みます
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加來博洋赤旗名人の話 新人王戦は、これまですべての対局が苦戦の上での逆転でした。準決勝も内容が良かったということはなく、決勝まで残れたことを、とても幸運だと思っています。
阿部四段の将棋は攻守のバランスが良く、細かな所へ視点が行き届いたきめが細かい将棋だと感じています。
3番勝負には落ち着いて臨み、とにかく目の前の1局1局に集中したいと思います。今はそれだけです。
加來さんの略歴 1980年10月22日生まれ。東京都国立市在住。奨励会三段リーグに第26期(99年10月〜)から第42期(〜08年3月)まで在籍。09年、赤旗名人戦優勝。
このチャンスものに
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阿部健治郎四段の話 今期勝率トップには自分でも驚いています。今も5連勝中でコンディションはベストの状態です。
加來さんには奨励会の三段リーグで3回あたって3回とも負けました。リーグを突破できなかったのが不思議なくらい強かった。新人王戦のたたかいぶりを見ても神がかり的な勝利をあげています。
私にとっても今回は大きなチャンス。そうめったにめぐってきませんから、それをつかみたい。3連敗したのは過去のこと。それにとらわれず全力を出し切りたい。
阿部四段の略歴 1989年2月25日生まれ。山形県酒田市出身。西村一義九段門下。2009年10月1日、四段昇段。
見どころ 観戦記者に聞く
第1局の観戦記者、蝶谷初男さんに決勝3番勝負の見どころを聞きました。
何かと話題の多い3番勝負になりました。
加來さんはアマチュアの立場での参加ですが、奨励会三段当時からその実力は高く評価され、阿部も“プロ同士”の対局という意識で臨むと思います。
戦型はまったく予想できませんが、先後にかかわらず、加來さんは序盤から独創的な構想を見せるでしょう。阿部がどう対応するかが見どころです。
加來さんは準々決勝と準決勝で大逆転し、その流れが持続している気もします。
決勝3番勝負の日程
第1局 7日(木) 午前10時〜、東京・将棋会館
第2局 12日(火) 同右
第3局 22日(金) 同右
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