2010年10月5日(火)「しんぶん赤旗」

主張

小沢氏強制起訴

国民参加した検審の重い判断


 検察が起訴しなかった事件でも、国民が参加する検察審査会が2回起訴すべきだと決めれば裁判にかけることができる―国民参加が強められた検察審査会の制度を使って、政治資金規正法違反の疑いがもたれた小沢一郎民主党元幹事長の起訴が決まりました。国民が参加した司法の手続きの重い判断です。

 法廷の場で追及されることになった小沢氏には、検察が起訴しなかったから「潔白だ」などという言い逃れは、もはや通用しません。小沢氏の疑惑を調査してこなかった、民主党の責任も重大です。

疑惑にこたえる責任

 「司法改革」の一環で、従来起訴するかどうかの権利を独占してきた検察がたとえ不起訴と決めても、一般の有権者が参加する検察審査会が「起訴相当」と判断し、それでも検察が起訴しない場合は検察審査会が再度「起訴相当」と決めれば起訴できることになりました。昨年5月の施行以来、これまでに兵庫県明石市の歩道橋事故やJR福知山線の脱線事故で検察審査会の決定により起訴が決まっていますが、小沢氏の起訴は国民の関心の高さからいっても、きわめて重要な意義を持ちます。

 小沢氏が起訴されたのは、小沢氏がみずからの資金管理団体「陸山会」の名義で土地を購入したさい、実際には資金は小沢氏から出ていたのに、政治資金収支報告書では「銀行からの借金」などと偽った事件です。すでに政治資金収支報告書作成に携わった、現職の国会議員を含む元秘書3人が起訴され、裁判を受けています。

 東京地検特捜部は小沢氏を「嫌疑不十分」で不起訴としたため、東京第5検察審査会はことし4月「起訴相当」と議決しました。特捜部はそれでも起訴しなかったため、メンバーを一新した審査会が再度、起訴を決めたものです。検察は、元秘書の供述では小沢氏の「共謀」を立証することが困難としましたが、検察審査会は元秘書らの供述の「信用性が認められる」と判断し、「共謀」を認めました。犯罪の疑いがある場合、公開の裁判で有罪か無罪か決めるべきだという検察審査会の決定は、国民からみて当然の立場です。

 小沢氏の嫌疑は、政治資金収支報告書虚偽記載の問題にとどまりません。疑惑の核心は、みずから提供したといわれる購入資金が一体どこから出たかです。検察審査会は、資金の出所を明らかにしない小沢氏の供述を、「虚偽記載の動機があったことを示している」と批判しました。小沢氏の裁判は裁判所が指名する弁護士が検察官役を務めますが、小沢事務所が深くかかわったといわれる公共事業の発注やゼネコンなどからの献金疑惑に、正面から切り込むべきです。

政治的道義的責任を

 検察審査会で起訴が決まった以上、小沢氏が裁判を待つまでもなくみずからの疑惑にこたえ、政治的道義的責任を明確にするのは当然です。国会の政治倫理綱領では、疑惑を抱かれた議員はみずから疑惑にこたえ、国民の前に説明するよう求めています。にもかかわらず小沢氏は、みずからにかかわるこの事件について、一度も国会で説明したことがありません。

 まだ逃げ回るなら、小沢氏も小沢氏が所属する民主党も、国民に決定的に追い詰められるのを免れません。





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