2010年9月29日(水)「しんぶん赤旗」

イスラエル 入植地拡大、再開

各国首脳「遺憾と失望」

直接交渉の継続が焦点に


 【カイロ=松本眞志】イスラエルのユダヤ人入植者は27日、ヨルダン川西岸地区の一部入植地で入植地拡大を再開しました。今月初め、イスラエルとパレスチナの直接交渉が米国の仲介で開始されたばかりですが、パレスチナ側は入植地拡大に強く反発しており、直接交渉の継続に暗雲が立ちこめています。


 イスラエルのネタニヤフ首相は26日に10カ月間の入植地拡大停止期限後も入植者に「抑制と責任」を求めていました。しかし、入植活動再開後の声明で入植地問題には触れずにパレスチナ側に「交渉継続」を要求しました。

 イスラエルの入植活動再開を受けて世界各国首脳はいっせいに「遺憾と失望」の意を表明。米国務省のクローリー報道官は「われわれは失望した」と語る一方、直接交渉の道が完全にとだえたわけではないとして交渉継続を焦点に努力していくと述べました。

 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は「(イスラエル)政府による入植地拡大停止延長の失敗に失望した」と述べ、「占領地における入植地建設は違法だ」と重ねて強調しました。

 欧州連合(EU)のアシュトン外務・安全保障政策上級代表は「入植地が国際法違反であるとするEUの立場は明瞭(めいりょう)だ。入植地は和平の障害であり、二国家共存を不可能にする」と主張しました。

 フランスのサルコジ大統領はパレスチナのアッバス自治政府議長と共同会見を行い、「イスラエルに対する入植地拡大停止期限の要求が聞き入れられなかったことは遺憾だ」とし、入植地拡大の即時停止を求めるとともに、イスラエルのネタニヤフ首相、アッバス議長、エジプトのムバラク大統領に10月末までの交渉継続を提案しました。

 アッバス議長は「早急な対応をとらない」としながら、「イスラエルが入植地拡大停止を拒否した今、この問題でパレスチナとアラブ側の態度をはっきりさせることができる」と述べ、今後の対応をパレスチナ自治政府とアラブ連盟に委ねるとしました。

 これに対し、イスラム武装抵抗組織ハマスのメシャル政治局長はアッバス氏に直接交渉からの即時引き揚げを要求しました。





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