2010年9月29日(水)「しんぶん赤旗」
在日米軍経費、日本負担 初の7000億円台
再編費増で押し上げ
在日米軍の活動経費のうち、日本側負担分の総額が今年度、初めて7千億円を突破し、7146億円に達しました。外務省の資料を基にした本紙調べで判明しました。
防衛省分の米軍「思いやり予算」や基地周辺対策費、総務省など他省庁分、米軍用地の借り上げ料で構成される「在日米軍駐留経費」に、在日米軍再編経費、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関係経費を加えた総額です。(表)
このうち、日米地位協定上、日本側に支払い義務があると解釈されるのが土地の賃料や基地周辺対策費、基地交付金で、全体の約53%にあたる3777億円です。
これまでの最高額は2000年度の6916億円で、1995年度以降は6千億円台で推移していました。
米軍関係経費が急増した最大の要因は、米領グアムでの海兵隊基地建設費をはじめとした米軍再編経費が前年度比で500億円近く増えたことです。最低でも3500億円以上とされる沖縄・米海兵隊普天間基地(宜野湾市)「移設」に着手すれば、その額はさらに増えます。
一方、米側負担については、日本と会計年度が異なるため単純比較はできませんが、外務省資料によれば、09年度(08年10月〜09年9月)の予算額は約47億ドル(3948億円、1ドル=84円で計算)にすぎません。
根拠ない支出 次々拡大
表のように、在日米軍関係経費は複雑な構造になっています。1960年の日米安保条約改定後、日本が米軍に支払ってきた経費は日米地位協定上の根拠を持つ土地の賃借料や基地周辺自治体への交付金などに限られていました。
しかし、78年度に地位協定を拡大解釈した米軍「思いやり」予算が始まり、それも限界に達すると87年度に特別協定をかわし、「思いやり予算」をさらに拡大しました。現行の協定は今年度末に切れるため、日米両政府間で延長に向けた交渉を行っています。
さらに96年度から沖縄県内の基地たらい回しを進めるSACO経費が、2006年度から総額3兆円とも言われる米軍再編経費が加わりました。まさに、屋上屋を架してきた“違法建築”のような状態です。
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