2010年9月27日(月)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
野菜の高値が続きました。小さなトマト一つ100円では、丸かじりもためらわれます▼野菜の種類によりますが、たいていは猛暑で育ちの悪いせいといわれます。ことし、春野菜も高値でした。夏とは逆に、日照の不足がたたりました。気象の異常が、家計や農家の経営を直撃しています▼ところで、野菜といえば戦中、変な“論争”がありました。コンニャクは野菜なのか? 政府は1939年、「国家総動員」のための命令だといって、多くの商品の価格を9月18日水準にくぎ付けします。野菜など生鮮食品は除いて▼しかし、政府の決めた価格ではやっていけない商人がいます。大分のある商人は、コンニャクの値段を上げました。コンニャクは生産が季節に左右され、腐る。だから統制されない野菜と同じ、と。裁判所は、「コンニャクは野菜ではない」と判断し、彼に罰金刑をいい渡しました▼たしかにコンニャクは、生鮮野菜ではなく加工品でしょう。しかし、国のこんな取り締まりは「やみ経済」をはびこらせます。やがて野菜や魚もやみ取引がふえて値上がりし、賃金もくぎ付けだった庶民の食卓から遠ざかってゆきました▼人々の暮らしを壊しながら戦火が燃え広がっていった歴史を、いつまでも語り継ぎたい。価格の統制令から1年ほど後、日本・ドイツ・イタリアの三国同盟が結ばれます。祝いの場で、「万歳」が繰り返されました。「天皇陛下万歳」「ヒトラー総統万歳」「ムソリーニ首相万歳」。ちょうど70年前の今日でした。