2010年9月27日(月)「しんぶん赤旗」

主張

イチローと白鵬

「スポーツの秋」の快挙を喜ぶ


 本格的な「スポーツの秋」の到来にあわせ、内外のスポーツ界からうれしいニュースが相次いでいます。米大リーグ、マリナーズで活躍するイチロー選手の10年連続200安打という前人未到の記録達成と、横綱白鵬の62連勝(歴代2位)と秋場所での全勝優勝です。日本のプロ野球でもリーグ優勝に向けた大詰めの攻防が続きました。

 ファンだけでなく、多くの国民を魅了したイチロー選手や白鵬の奮闘を一緒に喜ぶとともに、「スポーツの秋」にふさわしいスポーツの普及と、いっそうの発展を期待したいものです。

継続こそが最大の力に

 日本のプロ野球で活躍したあと大リーグに移ったイチロー選手の新たな記録は、日々の鍛錬が生み出した偉業です。長い歴史をもつ大リーグでも、10年連続の200安打はだれもできませんでした。年間200安打を打つことさえ難しいのに、それを10年間も継続するのですから、想像もつかない努力が注がれたと思います。

 ひと口で200安打といいますが、まず1年間にある162試合にほとんど出場しなければ不可能です。そのために、つねに体調を管理し、コンディションを整え、集中して試合にのぞむことが必要です。もうすぐ37歳になるイチロー選手にとって、体力を維持し、毎試合ベストの状態で試合に出場し続けることは大変なことです。いまも少しずつフォームを修正しているのも、現在の自分に合った理想の打撃を追究しているからでしょう。

 日本のプロ野球で「鉄人」とたたえられた野球評論家の衣笠祥雄さんは、イチロー選手を「努力の天才」とたたえます。走攻守三拍子そろったトップ選手として活躍を続け、次々と大記録に挑み、それを乗り越えていくイチロー選手。次はどんな新たな峰を築いていくのか、ほんとうに楽しみです。

 大相撲では横綱白鵬が連勝記録を伸ばし、歴代1位となる双葉山の69連勝にあと一歩と迫っています。白鵬は4場所連続の優勝となり、優勝回数も16回。これも継続こそが力といえるものです。

 白鵬の連勝記録は、暴力事件や野球賭博への関与など相撲界をめぐる不祥事が相次ぐ中で、最高位の横綱としての自覚と実力を示した点でも特筆すべきです。朝青龍が度重なる不祥事で引退に追い込まれ、一人横綱となった重圧、そして世間のきびしい目。その中で必死に土俵に打ち込んできました。

 もちろん、白鵬の活躍だけで相撲界が再生できるといえるほど、大相撲が抱える問題は軽いものではありません。改革への取り組みも緒についたばかりです。先頭に立つ横綱の奮闘と秋場所が無事終わったことが、再生に向けた一筋の光明となることを期待します。

スポーツの振興のため

 だれもがイチロー選手や白鵬のようにはなれませんが、スポーツは、プロ選手の活躍だけでなく、ファンの支援や愛好者の広がりがあってこそ発展していきます。

 トップ選手の活躍に力いっぱいの声援を送るとともに、「スポーツの秋」にふさわしく、この機会にそれぞれがスポーツに親しんでみることも大切です。そのためには、だれでも身近に手軽にスポーツができる環境を整える、政治の責任が大きいのは明らかです。





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