2010年9月26日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 アホウドリは、体のもっとも大きい海鳥です。北半球では、太平洋に3種類が生息しています▼3種のうち、たんに「アホウドリ」とよばれる白い鳥は、絶滅のおそれにあります。わが国の特別天然記念物です。動きがのんびりしていて、人間が捕まえやすい。伊豆諸島の鳥島と東シナ海の尖閣諸島でしか、繁殖していません▼明治時代、尖閣諸島のアホウドリに目をつけた人がいました。古賀辰四郎です。福岡県に生まれ、沖縄へ渡り海産物を商っていた人です。無人の尖閣諸島を探検した彼は、アホウドリの羽毛を欧州へ売る事業を思いつきました。政府に、開拓のため島を貸し与えてほしいと願い出ます▼1895年、政府は尖閣諸島を日本の領土に編入し、開拓を認めました。古賀はのちに、かつお節の工場もたてます。尖閣の島は、事業のとだえる1940年代まで、一時は150人が住み働く絶海の工場でした。かつてアホウドリは、資源だったのです▼【資源】自然から得られる生産に役立つ要素(『大辞林』)。60年代末、尖閣諸島あたりの海底に別の資源が眠っているかもしれない、と分かります。産業の水にたとえられる石油、天然ガス。ほどなくして、中国と台湾が尖閣の領有権を主張し始めました▼中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件から、領有権をめぐり関心を集める尖閣。同様の事件が再び起きないよう、政府が、日本の領有権のよりどころを事実と道理にもとづき、もっとしっかり世界に訴えていいはずです。





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