2010年9月25日(土)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
めっきり涼しくなった都心の街を歩いていると、「号外ですよ!」の呼び声。スポーツ新聞でした▼「10年連続200安打!」。イチロー選手の記録達成を、興奮気味に報じています。しかし、イチロー本人の心境は複雑だったようです。以下、前人未到の記録をつくった直後の「イチロー語録」から▼「チームメートがみんな祝福してくれて、なんか、あ、喜んでいいんだなって思いましたね」。2年前、8年連続200安打の大リーグ記録に並んだとき“事件”が起こりました。マリナーズの本拠地シアトルの地元紙が、イチロー選手を批判したのです▼「(チーム内に)自己中心的なイチローをきらう選手は多い」。イチローが打ってもチームは負けが込む。イチロー選手は、当時の報道が「トラウマ(心的外傷)になっている」と明かします▼「最初は侮辱から始まりましたから。かなり侮辱されましたからね…」。大リーグに移ったばかりの春のキャンプ。あるチームのエース投手と対戦するとき、周りから質問が飛びました。「彼からヒットを打てると思いますか?」。以来、10年に本番試合で2230本の安打を積み重ねてきました▼イチロー選手は、安打すべての打った場面を覚えているそうです。孤独や重圧の中で、結果を出すためにどれほど努力と集中力を注いでいるかを物語ります。すでに日米通算3500安打を超え、36歳のイチロー選手には、ピート・ローズ選手の4256本の不滅の記録ぬりかえも夢ではありません。