2010年9月22日(水)「しんぶん赤旗」
“銀行課税で途上国援助”
仏大統領が制度提唱
国連MDGサミット初日 発言相次ぐ
ボリビア大統領 貧困の原因直視せよ
【ニューヨーク=小林俊哉】国連ミレニアム開発目標(MDG)サミットが開幕した20日、国際機関、先進国、発展途上国の首脳から、それぞれの立場で多彩なアピールが相次ぎました。
先進国からの発言で注目されたのは、フランスのサルコジ大統領が、銀行取引に課税し、その収入を途上国の開発援助にあてる制度を提唱したことです。スペインのサパテロ首相も支持を表明しました。
金融危機を引き起こした金融界にそれ相当の責任を負わせるというのが、サルコジ氏の主張です。来年には、同氏が主要8カ国(G8)サミット、主要20カ国・地域(G20)サミットを主催することから、その場で新しい金融のあり方について合意を得たいとし、「悪弊に陥るのではなく、来年を変化の年に」と呼びかけました。
世界銀行のゼーリック総裁は「MDGは、世銀の任務の中心的なものだ」と強調。食料高騰・燃料高騰・金融という「三つの危機」で、MDG達成への前進は滞っているとして、「これは、サミットが行われる今週だけの課題ではなく、毎日の課題だ」と取り組みの強化を訴えました。
同氏は、中国やインドなどの途上国が経済的に台頭している状況から、かつての「南北問題」の枠組みを超えた開発政策の強化が可能になっていると指摘。とくにアフリカが世界の成長の極の一つになると信じているとして、「(それぞれの住民は)何をしなければならないかを知っている。問いかけているのは、指導者は何をするべきかだ」として、途上国の自発的取り組みへの強力な援助を求めました。
ボリビアのモラレス大統領は、先進国の議論について「貧困の影響だけをみて、その原因を見ていない」と批判。世界の富が不公正に分配されているという現実を直視する必要があると指摘しました。
同大統領は特に、国際通貨基金(IMF)が途上国への貸付にあたり、その自己決定権に干渉し、緊縮財政を求める「構造調整政策」を押し付けてきたことを指摘。開発の促進のためには「南(途上国)のための開発銀行」の創設が必要だと強調。中南米での取り組みだけでなく、アフリカやアジアでも「南のための銀行」の創設で、自主的な開発政策に取り組むことを提案しました。