2010年9月22日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 きょうは十五夜。中秋の名月です。あいにく曇りや雨のところが多いとの予報だったので、昨夜のうちに十四夜の待宵(まつよい)の月を楽しんだ人もいるでしょう▼空気が乾いてきて見通しがよく、気温はころあい、虫のすだく音が天然の音楽を奏でる。いまごろがもっとも月見に向いている季節、といわれます。昔の人たちの十五夜へのこだわりようは、半端ではありません▼あまねく月光の降りそそぐ名月の夜を、「良夜」とよびました。せっかくの月が雲に隠れてみえない夜は「無月」、雨が降っていれば「雨月」といいました。うらめしい気持ちが、よく伝わってきます▼そこで保険をかけ、前夜に待宵の月を眺める。あるいは、翌日の十六夜(いざよい)の月、十七夜の立待月、十八夜の居待月に期待をつなぐ。満月より月の出が遅れてゆき、立って待つから立待月、すわって待つから居待月。古人は、時の移ろいにも敏感だったようです▼中国から伝わり、平安時代の貴族が広めたという月下の宴。農民が月の満ち欠けを暦として農耕に励んでいた昔、十五夜の月見は収穫に感謝する祭りでもありました。かつて庶民の月見は、労働をたたえる心と宇宙の自然美をあがめる心が結びついた行事だったのかもしれません▼ことしは各地で、中秋の直前まで真夏日でした。気候の変動が、自然環境はもちろん、伝統行事のありさまにも影響してゆくのでしょうか。お酒より、涼を取るビールが似合いのお月見? 「けふ(きょう)の月長いすすきを活(い)けにけり」(阿(あ)波(わ)野(の)青(せい)畝(ほ))





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