2010年9月21日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
「赤旗」日曜版(9月19日号)敬老の日特集がおもしろい。生涯第一線と銘打ち、各分野で生き生きと活躍する人生の先達を紹介しています▼ホノルルマラソン18回完走の“90歳の鉄人”。取材した記者がいうには、入院をきっかけに最初は散歩から。やがて毎朝2キロを走るのが習慣になり、そして42・195キロへ。話を聞きながら継続の大切さを改めて実感したそうです▼継続といえば、この人か。大リーグで、10年連続200安打にあと7本と秒読みのイチローです。彼は2004年に年間最多安打を更新したとき、こう語っています。「いま小さなことを多く重ねることが、とんでもないところにいくただ一つの道なんだと」▼もう一人は、大相撲で勝ち星が続く白鵬でしょう。ライバル不在とはいえ、心技体すべての充実があってこその偉業。節目の50連勝を飾ったときの表現が味わい深い。「(単なる)数字ではない。1年365日の生活がかみ合った。運もあったと思うが、努力した人間にしか来ないと思う」▼わが身を省みれば、いずれも爪(つめ)の垢(あか)でも煎(せん)じたくなる達人の生きざま。せめて、何事も日々の努力が実を結ぶといい聞かせてみるものの、気がつけば三日坊主を嘆く情けなさ▼ただし、負け惜しみではありませんが、いまの世でまじめに生き続けることの価値も大きい。一芸に秀でてなくても、まっとうな人生を歩む。次の世代にそれぞれの何かを継続してくれる先輩たち。それを、ないがしろにする社会に未来はありません。