2010年9月20日(月)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
8月のお盆の前でした。記者の住む町の老人会や年金者組合の人たちが、市議会に陳情しました▼「1人ぐらし世帯の安否確認と緊急通報システムの新設・普及を求める陳情」。市内の全世帯のうち、65歳以上の1人ぐらし世帯はおよそ9%に達します。市も、いざという時の「緊急通報システム」を設けてはいます。しかし、重い病をもつ人に限っているので、利用できる人は少ない▼「一刻も早く実現を」と陳情した直後、世間を驚かす出来事が明るみに出ます。居所や足取りの分からない100歳以上の老人が、全国あちこちに。すでに、熱中症によるお年寄りの孤独死・孤立死が人々を悲しませていました▼陳情書は、「システム」の参考例を添えています。非常時にボタンを押すペンダント型発信機を身につける。トイレ・冷蔵庫のドアやテレビに、24時間使われないと異常を告げるセンサー式発信機をつける。民間の通報センターが各発信機からの知らせをうけ、電話で安否を確かめる▼センターが、お年寄りの隣人や知人に確認を頼む場合もあります。連絡一つでようすを見に行ってくれる人を、あらかじめ決めておきます。進んだ技術と住民の連携を組み合わせるしくみです。おっと、行政のお金の支援を忘れてはいけません。装置まかせにしない血の通った行政も▼「自分のことは自分でするから気にしないで」という人も、いるかもしれません。しかし、陳情した人たちは訴えます。“安心が、自分の力を生かす生活の出発点”と。