2010年9月18日(土)「しんぶん赤旗」
主張
菅政権改造
古い政治続ければ行き詰まる
民主党代表選で再選された菅直人氏(首相)が、党役員人事と内閣の改造を終え、新体制をスタートさせました。
新体制は、仙谷由人官房長官や野田佳彦財務相らが留任、岡田克也外相は党幹事長、前原誠司国交相は外相にそれぞれ横滑りするなど、骨格はそのままです。処遇が注目された小沢一郎元幹事長と輿石東参院議員会長は、代表代行就任を断ったといわれます。新閣僚を起用し、人事で目先は変えても、菅政権が古い政治の執行役を続ける限り、行き詰まりを深め、破たんするのは避けられません。
米・財界のいいなり強め
昨年の政権交代から16日で丸1年を迎えた民主党政権が、経済の低迷や消費税の増税、沖縄の普天間基地問題などで国民の批判にどう応えるのかが問われた先の代表選では、政治の閉塞(へいそく)を打開する十分な議論もないまま、菅氏の再選が決まりました。
もともと菅氏は、鳩山由紀夫前首相と小沢氏が「政治とカネ」などの問題で辞任したのを受け、後任の首相に就任しました。菅政権は、鳩山政権が昨年の総選挙での公約を裏切った普天間基地の県内「移設」では日米合意を実行する立場に立ち、財界が要求する法人税減税や消費税増税についてはその実行を約束するなど、アメリカと財界いいなりの路線をいっそう強めています。
菅氏は「新成長戦略」を売り物にしていますが、大企業向けの減税に示されるように、その中身は“大企業を応援すれば経済がよくなり、そのおこぼれで国民の暮らしもよくなる”というものです。破たんがはっきりした自民党流の経済政策と同じ立場です。
大企業は巨額の内部留保をため込んでいるのに、賃上げにも雇用の拡大にも回していません。国民の消費税の負担もほとんどが法人税の減税に消えてしまっています。求められているのは大企業への支援ではなく、国民の暮らしを応援することです。こうした転換を実現しない限り、日本の経済も国民の暮らしも、財政危機も立て直すことができません。
外交問題で菅氏が沖縄の普天間基地県内「移設」の日米合意に固執するのも、日米軍事同盟が何より大事という自民党と同じ立場に立つからです。県内「移設」は、沖縄県民の総意に反し、実行不可能な、破たんした道です。普天間基地の無条件返還を求めてアメリカと堂々と交渉する政治への転換が求められます。
鳩山氏と小沢氏が辞任することになった「政治とカネ」の問題でも、菅氏には鳩山・小沢両氏に解明を求め、政治的道義的責任を迫る立場はありません。これでは“臭いものにはふた”という自民党と同じ立場にしかなりません。
求められる閉塞の打開
民主党代表選後のマスメディアの世論調査で内閣支持率は上昇していますが、「政治がうまく進むか」という問いには、「進まない」38%が「進む」28%を上回っています(「朝日」)。国民は政治の閉塞状況の打開を、真剣に求めています。それには古い自民党政治を続けていては不可能です。
政治を大本から転換することが切望されています。菅政権の姿勢に正面から対決し、経済でも外交でも根本的な転換を求めて力を尽くすことが、いよいよ重要です。