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2010年9月18日(土)「しんぶん赤旗」
民主党の新執行部人事
党内であつれき 国民と矛盾
“先行きは厳しい”
菅直人首相が内閣改造とともに断行した党執行部人事。
党の幹事長に、沖縄・米軍普天間基地の辺野古「移設」合意を進めた岡田克也前外相を起用しました。議員グループ「国家財政を考える会」で、消費税増税路線の旗振りをしてきた玄葉光一郎党政調会長を留任させ、国家戦略担当相に起用。仙谷由人官房長官と共に菅体制の要となってきた枝野幸男前幹事長は、幹事長代理として党中枢に残しました。
長期政権狙う
当初いわれた「挙党態勢」よりも、日米同盟強化と財界肝いりの「新成長戦略」の推進で長期政権を狙い、党内の異論を抑え込む体制です。
岡田氏は、普天間問題でいち早く「県外『移設』は困難」として米側の圧力に屈した人物。2004年から05年までの党代表時代は、「構造改革」路線で「小泉改革」と競い合いました。枝野、玄葉両氏は菅体制の要として、消費税増税路線を突き進んできました。
公約裏切りで国民的批判に包囲され、退陣に追い込まれた鳩山内閣の後を受け登場した菅内閣―。菅首相は、国民に対する「反省」とは真反対に、普天間基地の辺野古「移設」合意の実行や、法人税減税とセットでの消費税増税を掲げ、財界・アメリカへの忠誠を明確にしました。
就任直後の参院選では、国民的批判を受け惨敗。ところが菅首相はここでも「反省」どころか、「日米合意」と消費税増税に固執し、アメリカ・財界奉仕の路線を次々と進めつつあります。
この路線と体制は、国民との矛盾をいっそう鋭くし、行き詰まりを深めざるを得ません。
幹事長人事の難航にも、そのことがあらわれています。当初、幹事長候補に名前の挙がった川端達夫文科相が固辞し、岡田氏本人も外相を続けたい意向を示しました。党内からは「参院選の惨敗とねじれ国会、党を二分する代表選挙の後で、先行きは厳しい。誰も引き受けたくはない。早くも行き詰まりだ」という声も聞かれます。
党内から批判
菅内閣の“忠米”路線には、代表選での菅支持派からさえ「アメリカ寄り過ぎだ」という批判が強く、名護市議選での新基地反対派の圧勝など、県民世論との矛盾を反映して、菅内閣の路線には党内でさえあつれきが激化する可能性があります。代表選における沖縄での党員・サポーター投票で、菅首相は小沢氏に大きく負け越しました。この中で、辺野古「移設」推進の当事者である岡田氏を幹事長に据えることは、不満がいっそう高まる可能性があります。
ある議員は、「公務員リストラとか普天間辺野古『移設』とか、既成事実として進むものは、紛れもなく対米追随と新自由主義の路線だ。間違いなく行き詰まるし、党内が割れる」と厳しい表情を見せます。(中祖寅一)