2010年9月17日(金)「しんぶん赤旗」
短期保険証発行1.7倍
75歳以上 後期医療 保険料払えず
東京・福岡など急増 社保協調べ
75歳以上のお年寄りを年齢で差別する後期高齢者医療制度で、保険料を払えず滞納し、正規の保険証を取りあげられ、短期保険証(短期証)に切り替えられた件数が昨年の1・7倍にも大幅に増えていることが16日、わかりました。中央社会保障推進協議会(中央社保協)が全国調査し、同日、記者会見しました。
短期証の発行は、昨年に比べて、30県で増加しました。とくに、昨年発行がゼロだった6都県で大幅に発行。福岡県が一気に5522件、東京都が1407件、群馬県が830件にふえました。減少したのは広島県など10道県にとどまりました。
後期医療制度を運営している都道府県広域連合が集計している短期保険証発行数(8月1日現在)は41都道府県の合計で3万2961件となりました(6県が公表拒否または調査中と回答)。
中央社保協の相野谷安孝事務局長は「所得が低く保険料を払えない高齢者が増えているのです。短期保険証で期限が切れ病院にかかれず手遅れになり死亡にいたる深刻な事例が増えています」と同制度の非情さを改めて指摘しました。
相野谷氏は、「短期証の発行はやめ正規の保険証を発行すべきです。先に中間とりまとめが発表された厚労省の高齢者医療『新制度』は、この後期医療制度の悪いところを残すもので、高齢者にますます苦難を押し付けることになります。後期高齢者医療制度は直ちに廃止するのが問題解決への早道です」と語りました。
短期保険証 保険料を滞納した場合、切り替えられる有効期限のある保険証。期限切れのたびに更新が必要です。3カ月、1カ月という超短期の保険証も発行され問題になっています。また保険証は自治体から届けられますが、窓口に出向けない被保険者に届かないケースも多く起きています。保険証のない無保険状態を生んでいます。
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