2010年9月15日(水)「しんぶん赤旗」

モノサシ持てぬ政党では…

政治部長 藤田健


 政権交代から1年。菅直人首相と小沢一郎前幹事長との間であらそわれた民主党代表選は、民主党政権がどういう地点に立ち至っているかを示すものともなりました。

 猛暑のなかあらわになった貧困の広がりと定着、引き続く不況のうえ追い打ちをかけた急激な円高、数万人単位で生まれた就職できない大卒者…国民生活の深刻な状況のなか、「いま代表選をやっている場合か」といったきびしい批判もありました。同時に、代表選の街頭演説会では、「この日本をどうするのか聞きたい」と期待する声もありました。民主党にとっても、国民への裏切りと迷走の末に政権を投げ出した鳩山前政権のあとを受けた菅政権が日米同盟強化と消費税増税路線を打ち出し、きびしい審判を受けただけに、その審判にどうこたえるのかが問われました。

メス入れず

 代表選では、小沢氏が参院選の審判を意識し、「『財源がないから増税だ』という話になってしまうと、国民にウソをついたことになる」などと菅路線を批判。「09年マニフェストへの原点回帰」を訴えました。

 しかし、その小沢氏も、財源問題では「ひもつき補助金」を一括交付金化することで財源を捻出(ねんしゅつ)するという荒唐無稽(むけい)な議論に頼らざるを得ませんでした。補助金のうち社会保障や教育に使われる約9割は削減できないのは明白で、小沢氏も最後は認めざるを得ませんでした。軍事費と大企業優遇にメスを入れられない弱点があらわでした。

 米軍普天間基地問題でも、「米政府と改めて話し合う」としていましたが、最後は「(新基地建設の)日米合意を基本にしてやらなければならない」とくり返しました。

米国と財界

 当選した菅氏はどうか。参院選での審判にもかかわらず、「社会保障と、消費税を含めた税制全体のことと、一体的な議論が必要」と、消費税増税路線に固執。「一番力をいれたのが新成長路線だ」として、法人税減税を打ち出した新成長戦略実現会議の方針実現に力を込めました。同会議は、財界3団体のトップが委員となった財界による司令塔です。

 普天間問題では「日米合意を踏まえると一貫している」と強調。代表選中には、「専守防衛」政策の転換を促した「新安保・防衛懇」の報告書を受け取り、日米同盟強化と在日米軍基地駐留の“意義”を説いた「防衛白書」を了承しました。

 財界とアメリカにいっそうの忠誠を誓う「忠米・親財界路線」というべき主張です。

 こうした論戦に、同党の支持団体からも「綱領をもたない民主党の代表選挙は危険だ。いわばモノサシがない状態で重大な選択をすることになる」(UIゼンセン同盟会長)といった声も出ました。モノサシがないまま、むきだしの権力闘争となることへの危ぐです。

 問題はモノサシの中身です。財界べったり・米国いいなりという日本政治のゆがみをどうただすのか―。民主党代表選は、このモノサシをもたない政党が政権を握っても、閉そく状況を打開する道は示せないことを明らかにしました。

国民の模索

 代表選2日前に投開票された沖縄・名護市議選では、政府のごり押しにもかかわらず、新基地建設反対派が多数を占め圧勝しました。いま、国民は政治の閉そく状況を乗り越える新たな道を模索しはじめているのです。





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