2010年9月14日(火)「しんぶん赤旗」

主張

名護市議選結果

民意に従い新基地を断念せよ


 沖縄県の米軍普天間基地の名護市辺野古への「移設」問題で全国的にも注目された名護市議選は、「移設」反対派が圧勝する結果となりました。新基地反対の稲嶺進市長を支える与党議員16人に加え野党系の議員にも反対する議員がおり、「移設」反対派は27人定数の市議会の3分の2を占めます。

 名護市民は1月の市長選に続き、市議選で改めて「移設」反対の強い民意をつきつけました。選挙結果が普天間基地の辺野古「移設」を県民の頭越しで決定し、強行する構えを強めている日米両政府への、痛烈な批判となったことは明らかです。

広がる「移設」反対の声

 市議選前の議会構成は与野党ともに12人で、中立が3人でした。それが与党の圧倒的勝利の結果になったのは、それだけ普天間基地の辺野古「移設」反対の声が強いことを示しています。9万人が集まった4月の県民大会が確認した普天間基地閉鎖・返還と辺野古をはじめ沖縄県内への「移設」反対の県民総意を、さらに強く示したことは明白です。日米両政府が民意に従い新基地を断念するのが道理というものです。

 選挙結果について仙谷由人官房長官や北沢俊美防衛相は民意として「受け止める」という一方で、県民を「説得する」政府方針に変わりがないとのべています。これは国民の意思にもとづいて政治を進めるという民主主義の原点すらわきまえない態度です。こうした態度をとる限り、県民・市民の怒りを買い、不信をいっそう広げることにしかなりません。

 民主党は昨年の総選挙で普天間基地の「国外、県外移転」を公約しながら、鳩山由紀夫政権がその公約を投げ捨てて5月の日米合意で辺野古「移設」を決めました。さらに菅直人政権が8月にその具体化に向けた報告書を決めたことが県民の政権不信を加速しました。県民の政権不信がいよいよ強まっていることは明らかです。

 垂直離着陸輸送機オスプレイの沖縄配備を日本政府が故意に隠してきたことも発覚しました。「移設」のための新基地へのオスプレイ配備は、飛行経路の見直しや環境アセスのやり直しが避けられない大問題です。都合の悪いことを隠したまま新基地づくりを進めるなど絶対に許されません。

 もともと辺野古の新基地は海兵隊の海外“殴り込み”専用基地です。住民を爆音で苦しめ、自然を破壊することにもなる新基地に県民が反対するのは当たり前です。政府は住民がくりかえし「ノー」をつきつけている県内「移設」の日米合意を白紙撤回し、辺野古での新基地計画は断念すべきです。

県民の苦しみなくすには

 普天間基地がある宜野湾市の市民と移設先とされる名護市の市民をはじめ県民の苦しみをなくすためには、普天間基地を即時閉鎖し、無条件に県民に返還させるしか道はありません。

 アメリカがオスプレイ配備を日本に公認させようとしているのは、強く要求しさえすれば民主党政権がいいなりになると見透かしてのことです。民主党政権が県民・住民の意思に応えるには、米海兵隊を「抑止力」だと認めるようなごまかしをきっぱりと払しょくし、普天間基地の無条件返還を主題にした対米交渉にふみきることが不可欠です。





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