2010年9月14日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流

　都心にある日本有数のホテルの中に老舗の料亭が店を出しています。屋内とは思えない立派な和風玄関もあり、まるで別世界です。外からしか眺めたことがありませんが、どんな客が来るのか、思わず想像をめぐらしました｡最近､この高級店も使われた政界工作が問題化しています▼接待した側は生命保険の大手各社。受けたのは自民党や民主党の国会議員。衆議院の財務金融委員や党金融調査会幹部など、いわゆる“金融族”が中心です▼生命保険の不払い問題が発覚した時期以降、接待は活発におこなわれるようになりました。接待だけではありません。生命保険協会の渡辺光一郎会長が社長を務める第一生命が、政治家のパーティー券を大量に購入していることも明らかになっています▼業界や企業による政界工作は、ゼネコンからサラ金までこれまでもいろいろ問題化してきました。今回の生保業界の政界工作もそれらに勝るとも劣らないような露骨なやり方です。貢献度によって政治家のランク付けまでしていたというのですから、計画的で悪質です▼以前、ある業界団体の「政界工作マニュアル」を読んだことがあります。そこには、「献金の効用｣として､業界にとって有利な政策や法律をつくるため、と明記されていました▼いまだに許されている企業・団体献金、小口なら政治資金収支報告書に記載しなくてもいいパーティー券や飲食接待。生保業界の政界工作疑惑を明らかにすることは、「政治とカネ」問題の新たな課題です。

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