2010年9月12日(日)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
残暑はきびしいけれど、夜ともなれば秋の虫たちがにぎわしい。もう、涼みのお化け話の季節ではなさそうです▼自民党の石破茂政調会長が、菅首相を「抱きつきお化け」にたとえたのは、梅雨の最中でした。自民が参院選の公約に消費税10%への増税を打ち出したら、菅首相が「参考にさせていただく」と寄りかかってきた▼おー、いやいや、近寄るな、気味悪い。せっかく勇ましく増税を掲げたのに、民主党との違いがぼやかされてしまう―。そして、参院選。抱きついた菅民主党は、議席を減らします。怪談が盛り上がる夏、猛暑なのに「抱きつきお化け」の影も薄い日々でした▼季節は移り、自民党の新しい幹事長、石原伸晃氏はいいます。「(菅さんに)抱きつかれてもいい」。民主党の代表選で菅首相が再選された場合、「財政」などをめぐり民主党との話し合いに応じる、というわけです。政策では「菅さんに近い」と認めます▼もはや、首相をお化けと思わないのか。あるいは、自分もお化けに仲間入り? いずれにせよ、めざすは増税話のむし返しでしょう。庶民にとっては、ぞっとする秋の怪談の始まりかもしれません▼「ノー消費税」(消費税をなくす全国の会)9月号で、ジャーナリストの斎藤貴男さんが語っています。「増税論者は『とにかく議論を』と口にしたがるが、議論の大前提である消費税の実態も本質も、それどころか最低限の知識さえ、一般には共有されていません」。私たちも、よく学びよく宣伝を、です。