2010年9月12日(日)「しんぶん赤旗」

生保政界工作 第一生命 接待59回

民主・自民金融族中心43人に


 不払い問題をめぐる生命保険業界の政界工作問題で、生命保険協会の渡辺光一郎会長が社長を務める第一生命(東京都千代田区)が2008年度から09年度にかけて国会議員と秘書43人を接待していたことがわかりました。


 日本共産党の大門実紀史参院議員が入手した内部資料と関係者の証言によると、第一生命は、議員14人と秘書29人をのべ59回接待していました。費用の総額は378万円にのぼります。接待を秘書だけが受けたケースも多く、国会議員30人の関係者が対象となっています。政党の内訳は、自民が23人で民主が7人。

 10人が国会の財務(財政)金融委員会に所属もしくは近い時期まで委員長だった議員でした。そのほかにも財務相や金融担当相の経験者、両党の税制や金融調査会の幹部といった“金融族”が目立ちます。

料亭、すし…

 生保関係者によると、同社で政界工作を担当する調査部が接待を行っていました。接待の席には、調査部の中でも議員対策を専任とする職員がほぼ毎回、同席していたといいます。渡辺社長も斎藤勝利前社長も調査部出身です。

 接待の店は、高級料亭から中華、すし、焼き肉、イタリアン、焼き鳥、炉端焼きと多岐にわたります。1回の費用は2000円台のカフェから、お土産つきで52万円の高級料亭までさまざまです。

 変わった場所では、東京ディズニーランド内のレストランでのもてなしがありました。

 接待には、斎藤社長(当時)や渡辺専務(同、現社長)が合わせて6回出席しています。

 本紙が生保関係者から得た証言によると、「議員への要望で大事な場面、要所に幹部も参加することになっている」といいます。

不払い額最多

 接待が明らかになった08年度から09年度にかけて、同社は10年4月の株式会社化への準備や不払い問題への対応に追われていました。

 第一生命の不払い金額は189億円と業界最多でした。生保関係者は「当時の金融庁からのヒアリングの際、『第一生命は別格だ』と言われるほど、不払いの内容がひどかった。業界では『第一生命が金融庁にボロボロにやられている』と評判だった」と話します。

 第一生命への業務停止命令が検討されたこともありましたが、08年7月に大手4社を含む10社への業務改善命令にとどまる結果となりました。

 また生保関係者によると、「生保協会の会長会社が政界工作の全体を取り仕切ることになっている。不払いが大問題だった時期、第一生命の斎藤社長(当時)が協会会長だったし、同社が不払いでひどかったから、政界工作を余計にがんばっていた」といいます。

 生保大手4社の接待攻勢(8月30日付既報)に続く、生保協会会長会社による政界工作。どんな働きかけがあったのか解明が求められます。

 第一生命は、接待について「国会議員との懇親を目的とした会合の実施につきましては、当社の社内規定に基づき適切に対応しております」と本紙に回答しています。





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