2010年9月10日(金)「しんぶん赤旗」

麻薬対策での米軍事支援受け入れ

政権へ厳しい批判

ペルー


 【メキシコ市=菅原啓】南米ペルーで、麻薬組織対策を理由として米国からの軍事支援受け入れの可能性を表明したガルシア政権にたいして、主権を放棄するものとの厳しい批判の声が上がっています。


 ガルシア大統領は5日のCNNとのインタビューで、ペルーが麻薬対策で米国から受けている援助は年額3700万ドル(約31億円)に達していることを明らかにしました。さらに、麻薬問題は、国境を超えた世界共通の問題だとの理由で、米国が望めば、ペルー国軍の訓練のための米軍派遣も受け入れる可能性があると語りました。

 これに対し、エドゥイン・ドナイレ元陸軍司令官は6日、ペルーの警察と軍隊は過去20年間、麻薬対策で成果を上げてきたと強調し、米軍から訓練を受ける必要はなく、それをすれば逆に「兵士たちの士気と精神を損なうだけだ」と指摘しました。

 農村開発の専門家ウゴ・カビエセス氏は、米国が軍事訓練を提供しようとする背景には、豊かな天然資源をもつアマゾン地域を支配したいという米国の意図があると警告。大統領の考え方は「主権を放棄し、麻薬対策で独自の国家政策を持つことを放棄する」ものだと批判しました。

 南米地域では、これまで麻薬組織対策が米軍駐留や米国との軍事協力拡大の口実とされてきました。南米諸国連合(UNASUR)は、共通の防衛政策を模索する中で、南米独自の麻薬対策の策定にも力を入れています。

 カビエセス氏は、米軍との協力を一方的に強めるのではなく、麻薬組織対策で多くの経験をもつ隣国ブラジルとの協力関係を確立するよう提言しています。





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